聖エルモの火
先日、「ヒポクラテスたち」を見て、青春の喪失を主題にした映画が気にいったので、同系の映画を探したら、「セント・エルモス・ファイア」に出会った。
ジョージタウン大学をそろって卒業した7人の仲間が、馴染みの店<セント・エルモ>に久しぶりに顔を合わせた。弁護士志望のカーボ、ミュージシャン志望のビリー、ジャーナリスト志願のケヴィン、政治家を目ざすアレックス、建築の勉強を続けるレスリー、銀行に就職したジュールス(デミ・ムーア)、ソシアル・ワーカーのウェンディ。七人七様の生き方で社会に出た。そんな彼らが在学中から心の拠り所にしていた溜り場であるバー・レストラン<セント・エルモ>。その後、この7人の間で、さまざまなことが起こっていくという物語。
昨夜10時から見始めたので見終わったときはすっかり深夜となったが、面白かった。それにしても若い頃のデミ・ムーアは荒削りでいい。「ゴースト」の頃はめっきり女らしくなってしまうし、その後はマッチョでごつい女に変わってしまうのだが、まだ初々しさの残るこの時代のムーアにすっかり心ひかれた。公開年を調べたら1985年だった。
この映画の“読後感”は「ヒポクラテスたち」とよく似ている。青春が終わってしまったという甘いせつなさが残るのだ。そういう気分に浸りたかったからまさにドンピシャだった。
映画の最後に、ミュージシャンとして旅立つビリーのエピソードとなる。高速バスでニューヨークヘ向かうビリーを見送る6人の仲間たち。帰りに、昔よく溜まった<セント・エルモ>の店の前を通ったとき、誰かが言った。「もう、<セント・エルモ>じゃないぜ」。この決め台詞がぴたっと嵌まるシーンだ。製作者たち(フィルムメーカーズ)は、これを描きたかったのだ。よく分かる。
この店前の場面がエンディングのタイトルバックで使われるが、その長回しを見ていて、京都の進々堂を思い出した。まさに学生街の喫茶店の光景だった。先日、講師で来てくれたQさんのセンチメンタルジャー二イがまざまざとよみがえった。20年ぶりに訪れた母校のキャンパスと周辺を巡ったQさんの紅潮した顔を思い出したのだ。
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