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投げ出されたものとして

投げ出されたものとして

1食(放送センター1階食堂)で、ツチヤカメラマンから声をかけられた。九州時代の仲間である。昭和57年の秋に長崎で「蝶々夫人」の物語をいっしょに作った仲だ。あれから30年の時が流れた。白皙の青年カメラマンだった人も頭頂部がすっかり薄くなり、自慢の髭にも白いものが交るようになった。
「今度、城西の専門学校へ行くことになりまして、長い間のお付き合い有難うございました」とツチヤさんは丁寧に頭を下げる。放送現場の職を辞して外部の専門学校で教鞭をとるという。意外な言葉に驚いた。

いくつになりましたかと問い返すと、55と答える。ちょうど区切りがつくので退職してゆくことにしたという。「それでいつまで専門学校には勤める予定ですか」と聞くと60と言うではないか。ちょっとため息が出た。現在63になった私には、あまりに短い第2の人生に思えたから。60を終わりの目途にしているようだがそこから先が長いのだぞと、泣き言をこぼしたい気分になった。でもにこやかに報告してくれるツチヤさんにそんなことは余計なことだ。内心の落胆など見せずに、お元気で頑張ってくださいと声をかけて別れた。

 アン・タイラーの最新作『ノアの羅針盤』にのめり込んでいる。3日ほど前購入したのだが、読み始めたら止まらない。主人公のリーアムの境遇に身につまされたのだ。60歳で勤めていた学校をリストラされて、それまで住んでいた家を出て、つましいアパートに住み替えたところから物語は始まる。アパート暮らしの1日目の夜に強盗に襲われ、気がついたときには病院のベッドにいたという意表をつく展開にまずまいった。次に、人生最後のステージである老年期の初頭に立って右往左往する主人公の境涯に関心をもった。

 仕事をなくしたリーアムがぽつねんと以前の職場のことを思い出す場面がある。ある会社の前に車を停めて、始業時間に合わせてやって来る人を探す場面だ。
《そして9時ちかく、人が到着しはじめた。スーツ姿の若い男たち、あらゆる年齢層の女たちが、2人3人とかたまって歩き、しゃべったり、笑ったり、肘をつつきあったりしながら建物のなかへ入っていった。リーアムは、いっしょに働く者同士の仲間意識が懐かしくて、少し胸がうずいた。》
胸がうずいたという言葉に、胸がうずいた。
 もし仕事を辞めたら、どんなに職場が恋しいと思うことか。いや場所ではなく人間関係の喪失に、胸がうずくことだろう。番組を作る現場に身を置いてから40年、ほとんど仕事中心で人生を設計してきたものとしてリーアムの心境は分かりすぎるぐらいわかる。

 リーアムの趣味は哲学書を読むこと。愛読する雑誌の名は「フィロソフィー・ナウ」。日本でいえば「現代思想」か「ユリイカ」か。だが、ちょっとフィロソフィー・ナウなんてネーミングは思いつかない。秀逸だ。リーアムは事件、出来事に対して、いつも内省的に対処するのも、哲学の教師として育んできた「人生の習慣」によるのだろう。そういう設定や初老のひがみっぽい根性にもおおいに惹かれてしまう。

 本棚に渡辺二郎の『自己をみつめる』があった。これこそ、「フィロソフィー・ナウ」。現代の日本におけるもっとも分かりやすい哲学書だ。ぱらぱらとページを繰ると、「被投」という言葉が目に飛び込んできた。ハイデッガーがよく使った言葉だ。
人間は親を選べない、生まれた国も時代も選べない。ましてやその運命も選べない。与えられた状況を受け止めて、それを生き抜くことが人間としてよく生きることである。人間とは投げ出された被投的存在。

――私といえば。まもなく65歳になり、仕事から切り離される時期がやって来る。そういう状況に投げ出されたとき、私はいかに生きることが、よりよく生きることにつながるのだろうか。さわやかな笑顔で去って行ったツチヤさんのように生きることができるのだろうか。

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by yamato-y | 2011-09-24 08:56 | Comments(0)
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