本当に強い人は
お客様をスタジオ見学に連れて行った。スタジオで、春風亭小朝師匠が貴乃花親方と対談していた。カット撮りですぐ終わるだろうと思ったら、延々30分続いた。話は興味深いことばかりで飽きはしなかったが、立ったままの視聴だったのでやや苦痛であった。終了の合図が流れたときは疲れがドッと出た。話があまりに面白いので、集中して内容に埋没していたから、無理な姿勢で聞いていたのを忘れていたのだ。
徹底的に強い人になりたいと若い頃の貴乃花は願ったそうだ。そのための練習、習慣、は何でも取り込んだ。無駄なエネルギーの放出はしないようにしたし、普段は出来るだけ「脱力」させていた。
対談の途中、小朝師匠と貴乃花親方は握手して、力の出し具合を互いに試したが、親方の余りの小さな力に小朝師匠は呆れた。勝負以外では無用な力を出さないと、きっぱり親方は言った。後ろから呼ばれても、絶対にくるりと振り返るのはしない。不用意にやると、首が吊ったりする。それを恐れてゆっくり振り返るように習慣づけていると、親方は語る。怪我や事故を極端に恐れる。靴を脱ぐときも靴を揃えてから脱ぐようにしている。足の指たちを活用させて、訓練するためだ。一挙手一投足、すべて相撲をとるための訓練を優先していた。
貴乃花は、先代の父貴ノ花を崇敬していた。大相撲のテレビ放送で父の勝負を見ながら、一心不乱に応援した。父が勝てるなら自分の命と引き換えてもいいとまで願ったそうだ。楠正茂と正行親子ではないか。いまどき、そんな少年がいるだろうか。
彼は大相撲を愛している。相撲以外にあまり関心はない。強くなれるなら、そのための努力を惜しまない。無用な力は使わない。無用な動きをして、怪我をするような事態からは出来るだけ離れている。
一時、貴乃花は親子をめぐる騒動に巻き込まれ、変人というレッテルを貼られることがあったが、本日の対談を見て、それはまったくの誤解だと感じた。貴乃花は、常人では考えられないくらい真面目で硬いのだ。その律儀な性格は、傍の凡人から見ると変人に見えるだけだ。
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