夏の終わりのベランダで
朝から蝉がしきりに鳴いている。8時頃までは暑さも盛りを過ぎたかと思っていたが、10時になれば何のことはない。気温はぐんぐん上昇して30度を越えているだろう。
この10日間は、個人的にも不調であったし、日本社会もろくなことがなかった。1年少し続いた内閣が倒れたが、新しい政治にも期待はできず、暗澹たる思いは続いている。展望がない。
私自身の体調もまだ戻ったとはいえない。朝、起きたすぐには痛みが走ることもある。
今日は日曜日。母が生きていれば、朝10時からの教会の礼拝に出かけたはずだ。母の死後、教会との関係もめっきり薄れた。
昨夜は、すこし仕事をした。懸案の「戦争の記憶」の小論をまとめたのだ。おおよそ書き上げたのだが、どうもメッセージが曖昧な気がする。もう一度、資料の読み込みからチェックしてみよう。それは夜にすることにして、昼間は映画のDVDでも見よう。ひとつは、トリフォーの「黒衣の花嫁」。もうひとつは最近の話題作「告白」だ。
久しぶりにブログのコメントにひかれた。昔に書いた「ちぎれ雲」の記事にどなたかが感想を寄せていただいたのだ。
そのオリジナルの私の記事を読み直す。なんだか、自分が書いたとは思えない。穏やかで余裕のある文章。今の私はどこかギスギスしたものを抱え込んでいる。体のせいか、社会の息苦しさのせいか、気候のせいか。
本日は、気分を換えようと映画を3本見た。トリフォーの「黒衣の花嫁」、中島哲也の「告白」、そしてテレビ映画の「バラッド」だ。バラッドの原作はクレヨンしんちゃんと知って、SF仕立てだが最後まで見た。「戦国自衛隊」的仕掛けだが、まあ最後まで見れた。
ちょっと驚いたのは「告白」だ。軽い作品だと思っていたが、なかなかの濃い中身。よく出来たシナリオだと感じた。
でも、映画的な面白さはやはりトリフォーだった。主演のジャンヌ・モローは取っ付きが悪いが、映画としてのスピード感は最高。
鴨下信一さんの向田邦子論を読み始めたら止まらない。名文探偵としての捜索もさりながら、同時代をともに過ごしたという得難い体験に裏打ちされた推論は絶品。向田の恋文を世に出したという立場から、一度鴨下さんと議論したいものだ。ちなみに、先日いただいた衛星放送アワードの審査員のひとりが鴨下さんだった。
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