黒澤の悪夢
1990年に黒澤明が製作した映画「夢」が今話題になっていると聞いた。8つの話からなるオムニバス映画で、「こんな夢をみた」という言葉で始まる物語。夏目漱石の『夢十夜』を彷彿とさせる不思議な映画だ。
「赤富士」というエピソードが今映画ファンのなかで話題になっているのだ。ネットで調べたら、このことに関連する記事が溢れていた。
物語はこうだ。男が山歩きをしていると、真っ赤に燃えた富士が現われる。どうしたのかと訝しんでいると、子供を連れた女(根岸季衣)が原子力発電所が爆発したと告げる。別の男(井川比佐志)が6つの原子炉が爆発したと説明する。逃げ惑う人々に襲って来る放射能、プルトニウム239、ストロンチウム90、セシウム137。
この映画を見たときは、「日本沈没」のようなパニック映画だとしか見ていなかった。だが、改めて今見ると、もっと生々しいものを感じる。根岸季衣の叫びが痛い。「原発は、安全だ!危険なのは操作のミスで、原発そのものに危険はない。絶対ミスを犯さないから問題はない、とぬかした奴等は、ゆるせない!あいつら、みんな縛り首にしなくちゃ、死んでも死に切れないよ!」
黒澤は核に深い関心をもっていたことは、「生きものの記録」という映画を作ったことでも分かる。第5福竜丸の事件が起きた時代だ。さらに原爆に対しても黒澤の関心は低くない。「八月の狂詩曲」という長崎原爆を主題にした映画も作っているのだ。
そして「夢」である。
予知夢ということではない。十分ありえたことを描いただけだろう。この「赤富士」には「日本沈没」の映画も影響を与えているのじゃないか。
(ちょっと、ここで中断。病院へ行くのだ)
病院から帰ってきた。定期診断で異常はなし。
ところで、大崩壊のお話。1950年代、日本に原発が導入されていく頃の、大衆文化をもう少しチェックしておかなくてはいけないとつくづく思う。
明日は66年目の8・6。広島の日だ。平和の祈りでは、今年は当然フクシマが浮上するにちがいない。
注意深く聞いておこう。ただ、明日は早朝から重要な編集作業が行われることが、さきほど決まった。
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