国の楯
昨夜は23時まで、最後のコメント直しが行われた。明日26日がコメント入れになるので、25日中に原稿を井上アナに渡さなくてはならない。そこで24日の深夜まで直し作業が続いた。
8月は戦争を考える番組が並ぶ月。今制作している作品もそのひとつにあたるかもしれない。美術番組だが、いわゆる戦争画といわれる作品を取り上げている。声高ではないが、戦争とは何かということを考える番組になるのではないか。
その絵の大きさは縦1.5m×横2m。黒い闇のなかに一人の将校が、日の丸で顔を覆われ横たわっている。まるで浮遊しているかのようだ。絵の題は「國之楯」、描かれたのは、昭和19年。作者は小早川秋聲。
太平洋戦争の時代、“戦意高揚”の名のもとに戦争画が数多く制作された。高名な作家が参加した。藤田嗣治の名前はよく知られている。そこに描かれたものは、闘う兵隊であったり勝利をおさめた場面であったり、まさに国民を鼓舞するものであった。そんななかで、小早川が提示した「國之盾」は異色だった。いったい、小早川はなぜこのような絵を描いたのだろうか。
そして、この絵は軍の展覧会に出品するつもりであったが、その軍によって受け取りを拒否されることになる。いったい何があったのか。制作されてから、この絵は20年以上、展覧会にも出されることがなく、ひっそりとある神社の境内にあった。さまざま謎を秘めたまま現在に至る。
今回、特別の許可を得て、この絵に赤外線撮影をほどこして、絵の「真実」に迫ることにした。というのは、この絵が2回にわたって描き直しが行われているということが判明したからだ。5日間にわたる調査の結果が出た。そこには意外な事実があった。
さらに、この作品の下絵が、保管されていることが分かった。
67年の時空を越えて、「國之楯」の謎が徐々に解かれてくる。「幻の戦争画」と呼ばれ数奇な運命をたどった一枚の絵の隠されたメッセージが明かされる。
放送は8月1日 午後8時から。「闇に横たわる兵士は語る 小早川秋聲『國之楯』」
ごらんいただきたい。その最後の仕上げに入っている。
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