おひさまに涙
今朝の朝ドラが終わって、アサイチに切り替わったとき、司会の有働アナがうるうるしていた。最前のドラマの別れの場面を見ていて感情移入したのだろう。今週の朝ドラはヒロインが一夜だけのお嫁さんになるという、夫の出征の物語。そこに出てくる男女の健気で悲しい愛に全国のファンが涙しているのだろう。
先日ブログに書いた茨木のりこの詩「わたしが一番きれいだったとき」にも、そういう場面が出てくる。
わたしがいちばんきれいだったとき
だれもやさしい贈り物を捧げてくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差だけを残し皆発っていった
朝ドラのヒロインの夫カズナリもきれいな眼差しを残して征った。おそらく彼は帰って来ない運命になると私は予想する。
死んだ人はみな美しい
こんな言葉をどこかで読んだ。
たった一晩しか嫁でいられなかった存在。とりあえず一夜 (ひとよ)嫁としておく。
一夜 (ひとよ) 妻というそしる言葉がある。一晩かぎりの関係ということから転じて遊女、娼婦を指すので、貶める意味で使われる。それと混同されやすいから、この言葉は適切でないかもしれないが、戦時中は一夜とはいわないが、数日しか嫁で居ることができなかった女性がいた。そのことが今はほとんど忘れ去られているのだということに、今回のドラマを見ていて気づいた。
いつもしゃきしゃきしてナマイキな現代の娘たちも、今週の別れの章は食い入るように見て、心を奪われている。時には目に光るものさえある。驚いた。こんなストーリーはかつてメロドラマで多用されていて平板だと思っていたが、ヒロインの演技に魅せられているともにその苛烈な境遇に驚いているのだ。
今から28年前、「おしん」が放送された頃は、少女が奉公に出されて、親と別れていく場面で人々は涙した。1980年代当時には昭和初年の不況は忘れ去られていたのだ。今の時代は戦争の銃後の暮らしや人生が見えなくなっている。
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