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ある輝き

ある輝き

ニューヨーク大学で南米映画を教えているロバート・スタム.彼の著作『転倒させる快楽』(2002年)はずいぶん前に買ってあったが、なかなか読み下すことができないまま、大磯の書斎の一角に置いてある。昨夜から、ぽつぽつと読みはじめた。
言語の権力という箇所で、突然、閃くものを感じた。

今出川通りに小さなケーキ屋がある。ミルフィーユやモンブランがめちゃ美味しい。S先生が4月に見つけて、5月28日にも小雨のなかを行った。2回目である。店頭のショーケースから好きなケーキを選んで、店内の喫茶コーナーで食す仕組みになっている。
店頭には大柄な笑顔の可愛い20代の女性が愛想よく注文を聞いている。彼女の背に厨房があってそこで数人の職人がケーキを作っている。私はモンブランを指して、紅茶をオーダーした。
店内に入ってテーブルにつくと、彼女が注文の再確認に来た。ケーキの種類に続いて、紅茶の銘柄を聞こうとした途端、大きく言葉がぶれた。発語しない。シシシ・・・と言葉にならない音しかない。吃音。かなり重度の障碍だった。
驚いて、彼女の顔を見ようとすると、彼女はかがんでいた姿勢から立ち上がって、一瞬だったが顔をそむけた。だがすぐ顔をもどすと、にっこり笑った。輝くような微笑だった。
心が震えた。

スタムの記述のなかに、バフチンの対話についての解説がある。バフチンは言語を中心にして社会実践をとらえている。日常政治のかなりの部分が、日々の言語交換というミクロ世界の形式のなかで動いているというのだ。抑圧は国家による統制とか経済による強制などではなく、顔を合わせての不定形の相互行為の微妙な形式のなかにしばしば起こる。
このスタムが書いていることが、ケーキ屋の女子店員の笑顔と重なった。
言語行為は権力と交差しているのだ。
例えば、ヒステリックな女性患者に対する優越な恩着せがましい男の医者、ホームレスに対する役所の難癖をつける役人、会社の女の子に対するおべっかを使いながら恩をきせる上司の口調。言葉による暴力は日常にあり、言語行為はいつも権力関係なのだ。

女子店員が注文の確認に来たとき、客である私はその地位に乗じて、上目線でモンブランを所望し、彼女はそれを下手に出てうかがうという権力関係にあった。好きなものをあなたに「要求」するのだと、私は彼女を追い詰めている。それに応じようとする彼女の言葉が出てこなかった。そこで大きな傷が生まれる。
が、にもかかわらず、傷ついたそのなかから、笑顔という身振り言語で彼女は立ち上がってきた。その恢復に、私は感動したのだ。

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by yamato-y | 2011-05-29 12:00 | Comments(1)
Commented by tazawai at 2011-05-29 13:18 x
時々ですが拝読させていただいております。なんとすばらしい話でしょうか。情景を想像して涙があふれました。また筆者が柔らかい眼差しでそれを感じ取られただけではなく、きちんご自分の言葉で言語化される謙虚さにも心打たれました。私にとって忘れられないものとなりそうです。
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