眠れない早朝
明け方に目が覚めた。今編集している番組の上がりのことを考えたら眠れなくなった。
第1回目の「フェルメール」のDVDを寝る前に見て、そのうまさに軽いショックを受けていたからだろう。その番組は、部内試写でも見ていたから2度目なのだが、参考までにと思って見直したところ、ついその語り口のうまさに引き込まれ、同時に、今自分が関わっている番組はそこまでのレベルをキープしているだろうかと、急に不安になったのだ。
眠れないまま、同じシリーズの最近の作品を見た。
これはたいしたことがなかった。ストーリーが動かない。同じところをぐるぐる回っている。編集のリズムも単調。シーンの切り替えしが同じサイズのロングショット。登場人物の紹介カットを挟んでインタビューというパターンを繰り返している。
同じジャンルの現代のアーチストが、名人といわれる作家のマスターピースに挑むという仕掛けは悪くないのだが、その経過は見なくても予想がついてしまうのだ。だから、興趣がわかない。
変な話、明け方にこの番組を見たおかげで少し気持ちが落ち着いた。今作っている番組はこれよりはベターな作品に仕上がっているはず。と納得させたものの、まだ不安はある。
眠れないまま、これまで作ってきた番組制作のことを思い出していた。たしかに、楽をして番組を作ったことなど一度もない。企画で苦しむか、取材撮影で悩むか、編集で落胆するか、仕上げでびびるか。何かかにかがある。こんなに苦しいのなら止めればいいのだが、終わって放送が出ると、また、やりたくなる。
ロケ先のホテルで眠れなかったことを思い出した。ニューヨークのグリニッジビレッジ傍の古いホテルだった。横浜のひばりの実家近くのビジネスホテルだった。いつも目が覚めるのは明け方の4時。そこからまんじりともしないで、ぐずぐずくよくよ悩んでいた。
今朝は早く起きて、いつもより1時間半早く出勤することにした。オフィスのパソコンから、今編集の最後の段階にあるスタッフに向かって、メールをする。できるだけ、相手に負担を与えたり不安にならないように配慮しながら、やんわりと番組の上がりへの期待を記しておく。
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