極上美の饗宴
衛星放送の電波の刷新で、新しく発足したBSプレミアム。4月に入って、新しい番組が続々登場している。なかでも月曜の夜9時からの美術番組「極上美の饗宴」はお勧めである。なぜなら、このシリーズに私も参加しているから(笑)。注1
この番組のコンセプトは、「世界と日本の超一級の名画、名品の美の謎を、新鮮な視点で徹底的に解き明かす、本格派の美術番組。」さらに、「世界中で発掘した新事実や研究成果の追跡、最新のテクノロジーを駆使した番組独自の実験・再現など、生き生きとしたドキュメントを軸に、毎回ひとつの美の秘密に迫る。」
プレミアムは教養波を目指しているから、そこでのアート番組の存在は大きい。いくつかの美術番組が予定されているが、なかでも本番組は本格的なビデオ構成番組だ。60分を構成するというのは、相当の技量がないと出来ない。つまり辣腕のディレクターたちがその腕を見せる場となる。
昨夜、第1回目の「心奪われる瞳の謎 フェルメール『真珠の耳飾りの少女』」が放送された。この回はカメラマン篠山紀信という案内人が立つという仕掛けになっていたが、その専門性を活かしたフェルメールの絵の謎解きは滅法面白かった。シリーズ冒頭から力作が登場したのだ。この後を担うものとしてはプレッシャーを感じる。
実は、先週末にこの作品を試写で見て、その上手さに舌を巻いていた。なにより篠山氏のサービス精神旺盛な表現には驚かされた。最初の主題が、フェルメール『真珠の耳飾りの少女』であることはうまい戦略だ。分かりやすい美だから、つまりポピュラーだ。
だが、これから登場する主題はそういうものばかりとはかぎらない。それでも、アートエンターテイメントとしての品質を維持できるか、そこが課題となってくるだろう。
私が今手がけているのはカラヴァッジョ。バロックの巨匠だ。数奇な運命を生きた画家とさらに数奇な運命を辿った名画の謎を解く。この番組のロケ隊は今週末から出発する。行き先はイタリアとアイルランド。この2つの国にまたがる絵の謎をいかに面白く見せるか。担当するディレクターはこれまでも名作をいくつも作ってきた名手だ。上手い取材を期待している。この企画に目を付けたのが1月。かれこれ3ヶ月要して、やっと実施にまで至った。なんとか面白い作品を作って、8月の戦争関連のアートドキュメンタリーに繋げたいと願っている。
注1(笑)・・・前からこの表現をやってみたかった。
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