まだら模様の意識のなかで
昨夜の注水活動を終えた東京消防隊のメンバーの記者会見を聞いていてその英雄的行為に感動した。
放射線の危険性が分かっているだけに、隊員たちは緊張して事にあたったと隊長は語っていた。残してきた家族からは、日本を救う為にがんばってきてとメールが寄越され、隊員らは危険区域に赴いた。このことを報告したあと、隊長は絶句した。
この感動的な話を聞いたあと、私はDVDで映画「ザ・ファーム」を視聴した。そして、佐野洋子の遺稿集を読んだ。映画はジョン・グリシャムの名作でよく出来ていたし、佐野さんの本は痛快で面白かった。
片一方で、決死の作業をやっているのに、こんなことをやっていていいのだろうかと自問しつつ、そういう気分転換をやらないと精神がテンパって仕舞うと自分に言い訳している。
敗戦直後の太宰治の「津軽通信」を読む。戦争に負けたのに、青森に疎開した太宰はぐだぐだ酒を飲んで、オダを挙げている。
次に永井隆の「この子を残して」を読む。20年8月9日に、妻を原爆で失い、当人も職業的放射線障害に侵されながら、二人のこどもと生きて行くサマを描いたエッセーだ。母を失った娘かやのが、父の寝床にもぐりこんで、「お父さんの匂い・・・」と呟く場面がある。それを目にして永井は「この子を残して・・・」と思いにふける。今、避難して懐に子供をかかえている、福島双葉町の親たちはみなこんな思いであろう。
みちのくはこれからどんな地域になるのだろう。福島原発があった地帯は人家がなくなり草原となるのだろうか。
なぜか、もののけ姫の風景が浮かんで来る。
10日経ったというのに余震がやまない。今日も東京で震度3。福島で震度5弱の地震があった。世界は、日本の災害とリビアの争乱の2つに目を注いでいる。少なくとも、欧州はこの災害とは遠い所にあると思っているようだ。果たして、これは日本という地震大国に固有のことのなのか。だって、13万年ぶりに起きた出来事という物差しで考えたら、古生代地層と安閑としているヨーロッパは安全か。というか、この青い星のどこかに安全といえる区域があるのだろうか。
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