人類の時間
現在の人類であるホモ・サピエンスは10万年ほど前にアフリカに出現して、世界中に広がっていったと言われている。これから10万年も人類は生き延びることはあるまい。とすれば、10万年強から20万年までが人類の時間になるか。
わずか68年ほど前に、ウラン鉱石から天然には存在しないプルトニウムが人間の手によって作り出された。これは放射能を持っている。このエネルギーが半減するまでの期間が2万4千年だ。さらに半分になるのに2万4千年。さらに半分つまり8分の一まで減衰するのに2万4千年。完全にエネルギーを失うには10万年を疾うに越えている。
今、廃棄物となり始めているプルトニウムが無害化する前に、人類は滅亡している可能性のほうが高いのだ。
地球が誕生して46億年。そこから45億9千万年以上経った時期にプルトニウムが発明され、46億数十万年ごろにプルトニウムが放射能を失いただの鉱石になる。それから地球が何万年、何億年維持されるか見当もつかないが、無窮に近い時間が流れるのだろう。
大きな時間の流れのほんの一部に過ぎない10万年強の人類の時間と重なり、ほんの少しだけはみ出す時間の尺にプルトニウムの時間がある。
地球の時間から見たら、プルトニウムの時間もただの一瞬に過ぎない。いわんや人類の、人間の時間も刹那だ。そういう意味では、プルトニウムの威力など恐るるに足らずかもしれない。だが、人類から見れば、一生涯という人間から見れば、2万4千年は永遠の時間ではないか。
プルトニウム半減期2万4千年。地球という象の時間から見れば、ほんの瞬間。
されど人類という蟻の時間から見れば、永遠の時間。
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