早稲田古本通り
朝一番の会議が長引き12時半までかかった。午後1時45分までに早稲田正門の前まで行くのが危ぶまれた。待ち合わせをしていたSさんとIさんに少し遅れるかもしれないと電話を入れて、慌てて社を飛び出した。タクシーを拾って渋谷駅前まで行き、山手線で高田馬場まで。地下鉄東西線に乗り換えて早稲田で降り、待ち合わせ場所に向かった。なんと到着した時刻は予定通りの1時45分だった。
文学部の教員ロビーで、美術評論家のK先生と会う。およそ2時間にわたって戦争画をめぐる戦後の言説についてレクチャーを受けた。私たちが持ち出したテーマについても、K先生は強い関心を示されたので、おおいに自信をもつことが出来た。そのことが最大の収穫だった。画を調べるのに有効な科学的手法はX線と赤外線の透視だということを知った。赤外線は下絵の鉛筆の線をたどるのに具合がいい。K先生に礼を言って、キャンパスを出たのが4時過ぎ、穴八幡前のそば屋で遅い昼飯を食べながら、取材したことをSさんとIさんと検討した。リサーチしているネタはなかなかいいことは分かったが、越さねばならない課題がかなりあることを確認。
私は二人と別れて、早稲田前から高田馬場に向かって歩く。明治通り沿いに並ぶ古書店をひやかすことにした。20軒ほど歩いて4冊購入。シメて1400円、安い。ツヴァイクの『最初の体験』200円。幸田文の『黒い裾』300円。河合隼雄『明恵、夢を生きる』(京都松柏社版)600円。こうの史代『街角花だより』300円。神田に比べて2割ほど安い気がする。特に店頭の安売り本は悪くない。夢中になって歩き回っていて、気がつくと6時を回っていた。
馬場までバスで出て新宿へ。中央東口で田沼武能さんとYさんと待ち合わせる。30年以上の仲の二人と、遅い新年会を兼ねた田沼さんの近況を伺う会である。
今年82歳になる田沼さんは言うまでもなく日本写真界のドン、日本写真家協会会長を10年以上勤めている。昭和24年からプロとして活躍してきた。だが、そんなことを少しも感じさせない。10分ほど遅れてきた先生は15キロはあると思われる重そうなカメラバッグを担いでいた。2台カメラが入っているという。少し風邪気味だったが、顔色は悪くなく、とても80代には見えない。春には、黒柳徹子女史とともにハイチの子供たちを撮影に行く予定だと語っている。恐るべき82歳。新宿ステーションビル7階のてんぷら屋で食べながらあれこれ聞いた。
2月から、田沼さんの個展が全国3カ所で開かれる。「アトリエのアーチスト」というテーマで、これまで30年にわたって撮影してきた画家たちの肖像写真の展覧である。案内のハガキをいただいた。そこには現代美術の高名なアーチストの名前が並ぶ。平山郁夫、飯田善国、佐藤忠良、上村淳之、絹谷幸二、有元容子ら錚々たる73人の名前があった。2月17日がオープニングで、銀座のキャノンギャラリーから始まる。歓談は9時まで続いた。
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