映画には弱い
先日の旅で取材してきたメモと文献資料を広げて、企画書を2本書こうと張り切っていたのだが、先夜見た映画「スパイゲーム」があまりにつまらなかったので、映画に対する渇望がひどくなってしまった。わざわざ、渋谷まで出かけてDVDのレンタルをするのも億劫ではある、が映画は見たい。駅前の有隣堂書店の安売りビデオでものぞいてみることにして、外出した。
その直前、植草甚一の『映画だけしか頭になかった』のヒッチコックの章をちらっとトイレで読んでいた。レベッカという文字が頭の隅に残った。書店に行くと、その作品がなんと380円の特売で出ているじゃないか。すぐ買って、見ることにした。
たしか前に一度見たことがあると思うが、はっきり物語を思い出せない。初見に近いからいいやと思って8時から見ることにした。
まずまずよかったが、それほどの作品でもない。植草ともあろう人がこんな映画を推奨するのかと、首をひねりつつ再度『映画だけしか頭になかった』を読み直す。「レベッカ鑑賞」が、そのエッセイのタイトルだ。
結果からいうと、私が誤解していた。植草も本作は出来がいいとはいっていなかった。《ヒッチコック映画の魅力がある。そうしてその魅力が。「レベッカ」によく出ていたかというと、けっしてそうではなかった》と植草は書いていたのだ。イギリスからハリウッドへ渡ったばかりの作品だったから、ヒッチコックも多少遠慮していたのかもしれないと、その味の薄さを植草もぼやいていた。
まあ映画の気分らしいものはあったが、ヒッチコック独特のスリラーはかなり薄い味の作品だった。でも、昨夜見たレッドフォードとブラッド・ピット共演の「スパイゲーム」に比べたら格段に面白い。なにより間然としない。飽きない。
ブラピはともかくレッドフォードという人が関わる映画はそこそこ面白いはずだが、「スパイゲーム」はつまらなかった。
それにしても、ヒッチコックという人は本当に美女が好きだ。此の「レベッカ」でもジョーン・フォンテインの可憐で美しいこと。この人は幼い頃日本に住んだことがあるというのを、どこかで読んだことがある。聖心女学院に通学したと聞いた。この人のその後の人生を知りたくなった。
それにしても映画は面白い。つい夢中になり11時を廻ってしまった。もはや企画書を作成する気にはなれない。最新のハンガリーの作品「ロンドンから来た男」というのが手元にあるから見ようかと思うものの、見終わるのは深夜3時となるだろう。寝坊覚悟で見る気にもなれないが、映画にはまるとつい時間を忘れる。
この植草本ではデビッド・リーンの「旅情」を高く評価していた。私もあの映画は好きだ。明日でもレンタルしようかな。
ほかの推奨作品も忘れないように、メモしておこう。ベルイマンの「処女の泉」、ロジェ・バディムの「危険な関係」、ポランスキー「水の中のナイフ」、シャブロルの「ジャガーの眼」、「陽のあたる場所」、デ・シーカ「靴みがき」。
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