栄楽街も消えた
転勤でいなかった時もあったが、渋谷の町に30年にわたって通勤して来た。
この町もずいぶん変わった。というより、日本で、世界で、一番変化し続ける町じゃ
ないだろうか。

渋谷センター街
30年前は、まだセンター街なんて町の名はなかったし、若者も目立たなかった。
町には、老人もいたし、子どももいた。あの当時はまだ外国人も少なかった。
今では若者がやたら目に付く町になった。
町の店舗の移り変わりは凄いスピードだ。この1年の間ですら、
ブティック→うどんや→ブティック(外国資本)。
鍵屋→コンビニ→ラーメン屋
電話ショップ→コスメ→チケットショップ
と、呆れる変化だ。一番儲かるのは、リフォームする内装屋か。
109なんてビルは建った当時は、評判にならなかった。中途半端なビルだった。
それが、最近では若い人の中心の一つになっている。過激なファッションの発信源だ。
ただし、渋谷で過激な風俗を示す男女は、たいてい地方出身者だ(と推測する)
あまりに、雑誌などで取り上げられている格好そのままだ。いわゆるマンマだ。
「着崩す」なんてことはない。
それに、地元でないから、羽根を伸ばせるのではないだろうか。地元だったら、親の目や親戚の口がうるさいから何にもできない。誰も知り合いがないから奇抜なスタイルを平気でやるのだ。よくトイレの陰や公園で着替えているのを見る。
そしてヤマンバなんてものが出現した。
先日新装開店したばかりのラーメン屋の前を通った。スタッフが数人たっていた。
なんとなく、まだこの町に馴染んでいない。でも、すぐ慣れるだろう。
ここはよそ者が集まっている町なのだから。
昔、栄楽街という飲み屋の横丁があった。夜になるとどぶに湯の匂いが
混じった、いい町だったが、その街も消えた。20軒ほどの飲み屋があったが
今では大きなレストラン1軒に変わっている。あの頃の店はなんとつましいものか。
開け放した戸の中から、毎夜議論したりどなったりする声が聞こえたものだ。
町も生きているのだろう。古い家並みが消え新しい風俗が生まれ、ニューカマーが
町を作る。必然として古い人は駆逐される。
昔、どろ亀先生に林業について教えてもらったことを思い出した。森は古い木が
倒れて新しい木が育ってくる、
倒木更新というかたちですすんでいくというのだ。
私や栄楽街は倒れていく木か、複雑な思いだ。
だが、記憶は消えない。
昔、栄楽街という町があったということ。

栄楽街があった所
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