日常の裂け目
日常性――同じことを繰り返す。退屈だが安全でもある。
この日常性も悪いほうへ転がると、生活習慣病というものを引き起こす。糖尿病とか高血圧とかはそういう原因だと聞く。私の本態性高血圧もそういうものから派生しているのかもしれない。塩分高めの食生活という生活習慣。
最近、日常の幕が破れたのは怪我をしたことだった。ひとつは雨の日に転んで背中の皮膚を大きくはがしたこと。もうひとつは一昨日に庭で草刈をしていたときに肩を岩にぶつけたこと。血がたらたらと流れたら一瞬青ざめた。血に弱いのだ。普段とは違うという緊張感がおきた。
そのあと手当てをしながら思った。子供の頃はこんな程度の擦り傷なんてしょっちゅうやっていた。血が出ても、唾をこすりつければ直ると放置した。いつから、こんなことにびびるようになったのか、弱虫になったのか。あまりに弛緩していて、私の日常性の幅が狭くなっていることか。
今朝の電車のなか。私の坐っている座席の上の網棚に、若い男が重そうな荷物を突然どさっと無遠慮に置いた。脚を広げてえらそうにふんぞり返っている。じろりと見たら、ガンを飛ばしてきた。負けるものかと、ガンを飛ばし返した。そのまま品川まで行った。
品川で降りたら、その男も後ろからついてくる。(喧嘩になるかも・・)と思ったが、仕方あるまい。できるだけ、やばい部分を殴られないようにするかとカバンを握りなおした。
男は私を睨み付けながら去っていった。
緊張したが、久しぶりに燃えた。
駅からセンター街をぬけて裏道を歩いていくと、前から3人の警官に包囲された男が来た。手錠さえないが、明らかに監視されて歩いている。すれ違うとき見たが、短髪のあごひげを生やした遊び人風の屈強な男だった。おそらく同行を求められて警察に行くのだろう。何をやったのだろう。ワイドショー的好奇心がわいた。
1週間前、センター街の入り口の路地で、血を流している少女を見た。そばに警官がいて、トランシーバーで連絡をとっていた。次の日、その場所に花束が供えてあった。致命的とは思えなかったが、少女は死んだのだろうか。事のドラスティックな展開に驚いた。
日常が(私なりの日常が)ときどき裂ける。
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