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透明人間になれ

まだまだ暑い日が続く

少し寝坊した。8時27分大磯発の電車に乗ろうと、ツヴァイク道を慌てて駆けた。途中、谷川の瀬音が大きいことに気づいた。一昨日まで降っていた雨がたまっていたのだろう。晴れているのに、轟々と水が流れる音がするのはふしぎな感じがする。
赤ままの花が微風に揺れていた。電車は定刻どおり運行していた。10月半ばというのにわが紅葉山も高麗山も紅葉のきざしはない。昨日の気温も夏並みだったというではないか。今朝も蒸し暑い。動くと汗をかく。飛び乗った電車のなかで、ハンカチで何度も首筋をぬぐった。電車は大磯を離れて相模野に出ると、丹沢山系に雲がわいていた。山影はうっすらとしか現れず、里に近い大山だけが山容を見せていた。

昨夜見た文化映画「教室の子供たち」を電車のなかで反芻する。文部省の企画で岩波映画社が1955年に製作した作品。監督は羽仁進。下町の小学校を舞台に、2年生のあるクラスの子供たちを追いかけている。ナレーションの主語は、クラスの担任の女性教師となっている。彼女から見た子供たちの生態だ。総勢50名ほどの生徒たちは誰も個性的だ。勉強ができるが我が侭な男の子、頭は悪くないのだが自己主張できない女の子、貧しい子、社交的で笑いの絶えない子。腕白な子、カメラは驚くほど子供たちの「素」を撮っている。

この映画は成功したこともあって撮影法はその後よく知られるようになったが、当初は手探りで撮影を始めた。ただ、羽仁は最初から子供たちの生態を撮影するために隠し撮りすることはしないと、決めていた。
子供たちにカメラの存在を馴染ませるためるにはどうしたらいいか、工夫した。そして、実際にシュートする前に、カメラを教室に持ち込むこにした。当初は、「異物」の侵入に子供たちは大騒ぎをする。レンズを覗き込んだり、シャッターに触ったりしてカメラの周りから離れない。だが2日もすると、子供たちはカメラに関心を向けなくなる。嘘のようにカメラの周りから子供が消えた。カメラのレンズをまったく無視して、子供らはそれぞれ自分の机にもどって、てんでに好きなことを始めている。羽仁はここまで待って本格撮影を始めた。その結果、見事に生きた子供たちをフィルムに収めることができたのだ。
この手法はシネマヴェリテといってフランスの人類学者が始めて、後にヌーベルバーグの作家たちに大きな影響を与えるものだが、羽仁は期せずして同じ手法をほぼ同じ時代に見出していたのだ。
私自身も似たような体験をしたことがある。

「シリーズ授業」という番組を開発したときだ。有名人が母校に帰って、1時間授業をするという番組で、現在も制作されている「課外授業・ようこそ先輩」の原型にあたる番組だ。シリーズのトップバッターに画家の平山郁夫氏を選出した。瀬戸内海の小さな島の小学校で、画を描くという授業をしてもらったのだが、内容は低調だった。島の子供たちはテレビカメラが珍しくてそればかり見ていたり、レンズを向けられて緊張したりしていて、授業の中身にまではとても入っていかなかった。
そこで2番目の授業では工夫した。本番の授業を始める前に、ディレクターである私がミニ授業をやって、子供たちに撮影ということに馴染んでもらう方法をとったのだ。模擬授業というか、馴らし運転をやってみせた。それから、本番に入った。(これは、“のど自慢”で本番前に拍手の練習をするというやり方の模倣である)
その回の講師は昭和電工の社長岸本泰延さん。場所は岡山郊外の小さな学校だった。岸本さんには化学を分かりやすく説いてもらうということで、「紙おむつ」の秘密について実験中心の授業をやってもらった。事前に子供たちが撮影ということに馴れていたので、教室には緊張はなく笑いすら起きた。生徒がリラックスすれば講師はノる。岸本さんも紙おむつに垂らす水をごくごく飲んで、子供たちから喝采を浴びた。授業は大成功に終わった。この成功が、授業という番組形式を定着させることになるのだ。

 ドキュメンタリーの現場では、「透明人間になれ」とよく言われる。カメラを持った異物がいると思わせたらいい映像は撮れない。そこにいることも気にならないような関係性を構築することが大切だという教えだ。

 「若き宗家と至高の三味線」で取材を受けた清元梅吉さんがこんなことを言っていた。「あの大きな体をしたフジゴンが一度だけまったく見えなくなったときがあるよ。国立劇場の本番が始まる前、楽屋で一人でスタンバイしていたときのことだ。部屋には私とフジゴンしかいなかった。本番前のテンションを維持するために人払いをしたのだが、そこにフジゴンがいたはずだが、私には彼の姿がまったく見えていなかった」
フジゴンとは、番組のディレクターのことである。1メートル80近い大男だが、そのとき梅吉さんの目には映っていない。透明人間になっていたのだ。それほど、その存在が梅吉さんの意識の外に在ったのだ。そういう関係を、半年にわたる取材のなかでフジゴンは構築していたのだ。信頼関係とも言い換えることができる。

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by yamato-y | 2010-10-12 15:47 | Comments(0)
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