すっかり、ほっこり
張り切って、国立劇場に8時間詰めたら、さすがに疲れた。
昨日の清元の大舞台は盛況だった。4時45分開場とともに、観客がどっと入って来た。正味の満席というのはすごい迫力となる。この会の模様は、11月の古典芸能番組として放送される予定となっている。そのために、カメラが4台入り、その芸能番組のディレクターが中心になって中継収録されている。
私のチームはドキュメンタリーなので、単体のカメラが2クルー入った。普段は1台だけだが、昨日は本番ということで、さまざまな動きが起きるので、1台だけでは到底カバーできない。メインのディレクターのクルーとサブのディレクターの「別カメ班」の2班体勢を組んだ。私はプロデューサーとして、全体の流れを把握しようと現場にアテンドした。
浄瑠璃の清元延寿太夫は劇場に入る前に、深川にある一門の墓所に出向いて成功を祈願した。ここにはメイン班がはりつく。
そこからディレクターはお台場の三味線の清元梅吉の居宅に駆けつけて、梅吉師といっしょに劇場入りする。このお二人が4時過ぎに、次々に劇場に到着するのをサブ班がむかえ打つ。一方、会場では、舞台作りが進む。といった具合で、出来事が同時並行で起きるのだ。私はといえば、それぞれの班が滞ることないか目を配りながら後方でサポートする。時には、カメラの三脚をかついだり、やって来る車の搭乗者を確認したり、ともっぱらADのようなことばかり。つい早足、駆け足になる。そのときは気にならなかったが、今朝になったら体が重い。
演奏の間、私は上手舞台袖にあって、そこから二人の宗匠、清元延寿太夫と清元梅吉をずっと見続けた。不乱に語りあげる太夫。内に秘めたものを指にだけ収斂させる三味線。間近に目撃する仕合せを感じた。「隅田川」の後半、班女の悲痛が心にしみた。舞台は成功裡に終わった。そのあと、楽屋前の廊下で感動的な場面が起きた。その詳細はまだ書けない。ぜひ、放送をごらんいただきたい。
そうやって、素晴らしい感動を得て、劇場を後にしたのは9時半。帰局して、機材を返却し、映像の中身チェックを終えて、デスクにもどったのが10時半。渋谷駅にたどり着いたのが11時だった。少しだけ飲みたくなり、居酒屋へ入って、升酒とイカ刺しで一杯やった。やりながら、今期芥川賞の受賞作『乙女の密告』をぱらぱら読む。短い作品だから、そのあと帰宅して読み続け、午前1時半には読了。いささか期待外れの作品。直木賞の『小さいおうち』のほうが出来がいいと思う。
そんな夜更かしも重なって、今朝起きたら、体が重い。体の節々もいたい。
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午後3時。開場前の静寂

午後5時。人で溢れるロビー

午後6時。開幕直前の緊張。