一吻
川谷拓三さんが54歳で逝ってから、もう10年になる。
彼はガンと真っ向から戦い、壮絶な死を遂げた。
その病床にあって、彼の心をとらえたものは字を書くことだった。
緒方拳さんから川谷拓三、拓ぼんは書を教えてもらった。
折にふれて彼は字を書いた。
なじみの喫茶店のために書いた色紙がある。
「一吻」、いっぷんと読む。
生前、意味を聞かれた拓ぼんは、「ちょうど赤ちゃんのほっぺに
お父さんがチュッとしやはるようなもんや」と答えた。
一吻のことを聞いたとき、私は冬のソナタの
初雪の日のファーストキスを思い出した。
高校生のユジンとチュンサンが電光石火のチュッと唇を合わせる。
見ているこちらまで照れくさくなるほどの、可愛いキスだ。
ソナチアンから絶大な支持をうけている名場面だ。
この場面の意味と工夫を尋ねたら、ユン監督は「小鳥たちが
クチバシをチョンチョンとついばむような、愛らしいものに
したかった。初々しさを表現したかったのだ」と答えた。
まさに一吻ではないか。
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