風を感じながら
園芸の番組を見ていて心に残る言葉と出会った。
育てていた植物が元気を失くし萎れ始めているのでどうしたらいいかという、視聴者の質問に答えるコーナーでのことだった。園芸研究家のその人は水やりや肥料の与え方などを説明した後、こう言った。
「室内で育てると風を受けることがないので、時々葉っぱを持ち上げて触ってあげてください。そうやって葉っぱに刺激を与えると生き生きしてきますよ。」
驚いた。風は植物にとって単に吹いているだけではないのだ。おしべとめしべを接触交合させるための媒介としての風だけじゃないのだ。風は花や草に触って、その命を賦活していたのだ。
風に揺れている野菊なんて、風情だけのことではなかったのだ。
遠い山から 吹いて来る
小寒い風に ゆれながら
けだかくきよく 匂う花
きれいな野菊 うすむらさきよ
野菊がけだかくきよく匂うのは、風が触ってあげているからなのだ。花びらを葉っぱを、さわさわと風が触ってあげるから、野の花特に野菊はやさしい。『野菊の墓』の民子が野菊に惹かれたのも当然だ。
季節違いかもしれないが、風と野菊の関係がどんどん気になっていく。
原石鼎の名作
頂上や殊に野菊は吹かれ居り
ずっと気がつかなかったが、字句には表れなかった風こそ、この句の主人公だったのだ。
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