忘れものの名人
広島からの帰途、およそ4時間読書も止めて行く末を思った。このままでいいのだろうか、もっと他に道はあるのだろうかと。
結論は出ない。だが、何だか居心地がよくないのだ。今のままで終わりをむかえるということを、内心潔しとしないのだ。
かといって、他に道があるわけでない。
瀬戸内の山間の村が車窓から次々に飛び去っていく。三原付近、福山付近、岡山付近。小さな谷にはりつくように形成されている集落。こんな小さな町や村にも人は足るを知って生きている。人は谷で生まれ谷へもどっていく。どこかで読んだ詩にあった。
とここまで書いて一日経った。今日は暑くなった。30度を越える日差しのなか相模大野まで行った。
北里大学の遺伝子研究所のT先生にゲノムの話を仲間と2人で聞きに行った。先生は臨床ももっているから、具体的な実践の中から掴んだ情報を分かりやすく教えてくれた。リサーチインタビューはおよそ2時間に及んだが、お話がうまいので素人が聞いていても飽きない。
とここまでよかったのだが、午後3時半辞去してタクシーで相模大野まで戻った。駅で財布を捜すとない。青くなってショルダーとトートバッグをひっくり返して探すが見当たらない。実は、IDカードも昨日の広島旅行で紛失したばかりで、物忘れが続いている。冷静に考えると、名刺交換のときには財布があったから、北里大学の研究室に置き忘れた可能性が高い。
さっそく先生に電話をすると、やはりあった。恥ずかしい。
また一人で取りに戻り、バスで駅まで出た。その間1時間以上のロスがでた。
この頻繁な物忘れに自己嫌悪して、帰社すると、IDカードが見つかったという連絡が入った。
やはり、広島局のデータ情報部があるトイレの洗面所にあったそうだ。
どうも、ひとつのことに夢中になると、ぽかっと他のことを失念してしまう。
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