藤の花房
嵐の後の快晴。穏やかな日となった。
久しぶりにツヴァイク道を歩く。新緑が美しい。遠く、江ノ島が霞んでいる。春霞か。
九十九折の坂道の大きな曲がり角に藤の花びらが無数に落ちていた。見上げると、美しい薄紫の藤の花房が幾百と垂れていた。風もないから花房はまっすぐ地に向かって逆三角形になっている。
過日は、ふるさとの実家の庭を見て荒れていないことにほっとしたが、今日は大磯の自然が相変わらずたおやかなことに喜ぶ。
これからの黄金週間をできるだけ現代思想を勉強しようと思う。東京から数冊テキストを持ち帰ってきた。明日あたりには、京都から8冊ほど「戦争の記憶」関係の書籍が届くことになっている。昨年後半から、ぽつりぽつりと読んできたことを、あらためてまとめ読みして総括し、ノートをつけたい。
サブカルチャーにおいてもそうだ。3年来、手がけてきた少年週刊誌、フィギュア、日本のSF黎明史、などをそろそろカタチにしていこうと思う。それには、この大磯の光丘登羊亭が格好の場となる。
今朝、フィッツジェラルドの『冬の夢』を村上春樹の新訳で読んだ。美しい短編だった。まだ余韻がある。村上もこんな短編を生涯に一度書けたらどんなにいいかと思ったと書いているが、まさにそれに相応しい作品だった。フィッツジェラルドは40あまりで死去している。当方は、60を過ぎて馬齢を生きている。
それにしても、木村敏の主張するように、私らは「生命」によって、私らを生きられているのだと痛感する。その余得として、今日の藤の花と出会うようなこともあるのか。
眼福。眼福。
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