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定年再出発  

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余り世や

余り世や

同年の人と品川の港南口で、昨夜飲んだ。正確にいえば、もうひとり10歳下の中年も混じっていたが、気分は同輩の半現役組の酒盛りだった。その同年の人Tさんは同期入社だが1浪しているから私より1歳年長となる。まもなく63歳の定年をむかえる。長く自然番組を創り続け、サイエンス番組の名作を世に送り出したクリエーターだ。まだ制作したい企画をもっている。だがそれを創ろうと思うとなかなか金がかかる。現在のような不況ではその資金を得るのが難しく、Tさんはそのネタを懐にあたためたままである。勿体ないと思って、その企画実現の道を探そうと、もうひとりのクリエーターといっしょに相談するべくその居酒屋に足を運んだという理由(わけ)。たそがれの居酒屋はサラリーマンたちで賑わっていた。
 
 9時過ぎにはお開きにして家に戻った。寝床で、図書館で借り出した『三屋清左衛門残日録』を読む。前にも2回ほど読んだことがある、藤沢周平のなかでも一番好きな小説だ。自分の本棚にも文庫本があるのだが、図書館の書架で単行本をみつけ、つい手にとった。面白い小説ゆえ、ちびちびなめるようにして週のはじめから読み継いでいる。

 主人公の清左衛門は藩の要職にあったが52歳で隠居した身。余生を生きているのだが、藩に渦巻く陰謀に巻き込まれるなどして、ゆっくり隠遁というわけにもいかない。そんな境遇でも、ときおり隠居のわびしさを感じるときがある。
《夜ふけて離れに一人でいると、清左衛門は突然に腸をつかまれるようなさびしさに襲われることが、二度、三度とあった。そういうときは自分は、暗い野中にただ一本で立っている木であるかのように思い倣されたのである。》
この主人公清左衛門はまだ50歳を越えたばかりだというのに、よく世をはかなんだりする。拙者からみればまだ早いのではと半畳を入れたくなるが、平均寿命が五十代の江戸時代であれば、老人意識は不自然ではないのかもしれない。それにつけてもその感慨に、私はつい共感する。
風邪をひいても、昔ならたまご酒でも飲めば治ったものだが、今では変にこじれるところが、年老いた証拠だと自認したり。ゆえあって交わりを断った旧友が亡くなったと葬式に駆けつけながら、生前に仲直りしておけばよかったと後悔もしたり。さっきまでいっしょだったTさんの境涯、私の人生などを重ねたりしてこの藤沢作品を読むにつけ、いよいよ興趣が深まっていく。

 この世捨て人清左衛門が淡い恋をする。割烹「涌井」の女主人みさである。私が読んでいる巻1では、そのみさが店を知り合いに譲って故国へ帰っていくストーリーとなっている。このあと、彼女が戻ってくることを私は知っているのだが、この巻1ではせつない別れでとどまっていることに心奪われる。清左衛門の切なさをすっかり身に受けて、藤沢文学の骨頂を昨夜は味わいながら寝た。
詠んだ人の名前は忘れたが、次の句が思い起こされる。

余り世や ゆっくり弾む紙風船

 紙風船といえば、落ちて来たら打ち返そうよ、という詩もあった。黒田三郎の詩だ。そういえば晩年の黒田も恋をしていたか。余り世もなかなか深そうだ。

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by yamato-y | 2010-04-15 08:18 | Comments(0)
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