魂の植民地化、脱植民地化
安冨歩さんが言う魂とは、人間が生まれてきたときにもっていた能力(ちから)で、身体と心と双方にまたがって在るものと考えられる。
そして、魂は外界と接するとき直接ではなく、間にシステムが介在する。外界のメッセージを自分なりの形にして取り込もうとする「システム」で、それをインターフェースと名付けている。インターフェースは学習によって成長するものだと安冨さんは考えている。
魂の周りにインターフェースがあり、さらにその外側に外界があるという構造を思い浮かべればいいだろう。この魂とインターフェースの間が壊れたり、インターフェースと外界の間が閉ざされていくと魂が何者かによって支配されることが起きる。これが魂の植民地化ということらしい。この植民地化する大きな要因がハラスメント、悪意、嫌がらせである。
マイケル・ジャクソンは生涯にわたってたくさんのハラスメントに遭遇してきた。まさに受難の人生といえる。そこを解明したいと安冨さんの著作や論文を今読んでいるのだが、そのなかでマイケルの初恋の相手であるテ―タム・オニールのことが気になりはじめた。
テータムといえば、「ペーパームーン」や「頑張れベアーズ」で好演した名子役である。たしか、史上最年少でオスカーを受賞したと記憶するが。彼の父は、「ある愛の詩」のライアン・オニール。麻薬中毒で暴力をふるう父のもとで、彼女はずいぶん苦しい半生を送ったと思われる。性的依存症ともいうべき父は放埒な姿をテータムにたえず見せていた。同時に父は彼女の心を引き裂くような言葉を幾度となく発した。なかでも、傷つけた言葉は、「オレがいなかったら、おまえなんか何もできなかったのだぞ」
彼女が12歳のとき、マイケルと恋におちるものの、周囲の反対にあって二人は引き裂かれることになる。このブレイクハートがマイケルに決定的な傷を与えるのだが、テータムにしても同様であった。成人して、有名なテニスプレイヤー、ジョン・マッケンローと結婚し3人の子供をもつが、夫の暴力や彼女自身の麻薬中毒によって、結婚生活は破綻。3人のこどもの親権も失う。その後のテータムの消息は長い間聞かなかったが、2008年に三たび麻薬中毒のために逮捕されたと、ネットは伝えている。彼女の人生はまさに偽物のお月さま、ペ―パームーンそのものと言いたくなるほど悲惨だ。
彼女にハラスメントしたのは、まず父のライアンが考えられるが、それだけではない。悪意のマネージャーをはじめとするハリウッド・バビロンのいくつもの邪悪が彼女に襲いかかったのだろう。彼女は今も苦しんでいる。
ハラスメントに遭うと、世界が鉛色になる。原因不明の頭痛や肩こりにしょっちゅう悩まされることになる。無気力になってしまう。ハラスメントを仕掛ける相手が間近にあれば、そこから距離をとるというなどの対策もたつが、誰が原因かも分からない遺伝のように代を重ねた他者からの場合は仕末におえない。魂の脱植民地化は容易ではないのだ。
親はこどもを傷つけたりはしないものだという神話のために、ずっと隠蔽されてきた事柄が、今ハラスメントという概念によって解明されはじめている。このところ毎日のようにある親の虐待、ネグレクト。昔からあった継子いじめや怠慢な親だという見方では、その本質を見失う。
安冨さんが提唱する脱植民地化の理論にもう少しこだわってみようと思う。
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