自然の摂理と人間の悪意
2月の自然教育園には春の準備が進んでいた。福寿草が咲いていた。黄緑のパラボラ形の花びらが目に飛び込んでくる。花の中心にはおしべとめしべが密集している。そこには光が集まり温度も高い。居心地のいいその席を求めて昆虫たちが飛び込んで来る。動き回る虫たちが結果として受粉の手助けとなる。うまく出来ていると感心する。
そのそばにマンサクの花がやはり黄色い花をつけていた。木の花はまだまだ咲いていないこの時期に、まず咲く、ということからマンサクという名前がついたとか。ひものような黄色い花はしょぼいが早々と咲いているだけで貴重だ。
ヤブツバキの赤い花がぼったりと咲いている。園の解説によれば、虫を遠ざけ鳥を引き寄せるための、赤い花びらだという。赤い光線は鳥には見えるが、昆虫には見えないそうだ。受粉に役立たない虫には見つけられにくくなっている。こんな仕掛けを誰が設計したのだろう。
命ということをニワトコの芽を見て深々と思う。丸い大きな芽、細長い芽、いぼのような小さな芽、3種類の芽が出ている。
大きな芽は花と葉になり、細長い芽は葉と枝になる。いぼは、それらの芽が傷ついたりしたときに、その代わりとなって発達するスタンバイの芽なのだという。命は存続させることを最大の目標にしているのだ。
園内に遍在する「命」というものを畏怖する気にさせられた。
安冨歩著『ハラスメントは連鎖する』(光文社新書)は教えられるところの多い本だ。この新書を私は推薦する。
ハラスメントとは嫌がらせだ。悪意が問題だ、悪人がポイントではない。人を支配コントロールしようとする、その悪意。
マイケル・ジャクソンはその悪意に終生さらされた。あるときは人種差別、少年への性的虐待、あるときは皮膚の変化、尋常性白班、保安官の執拗な取り調べ、インタビュアーの意地悪。受けたハラスメントは数限りない。
よくマイケルは耐えたものだと思う。安冨は「魂の殺人」を受けて、緩慢な死に向かってマイケルは生きて行ったと見ている。
何も語らない樹木ですら、命を存続させるための大いなる「智慧」がめぐらされているのに、人間には信じ難いほどの悪意。
先日の国会での与謝野某の総理大臣に対する悪意に満ちた質問。不思議だ。新しい政権は誕生して10ヶ月。そこしか責任登板はない。その前の20年近くは与謝野氏が所属する政党が担当していたじゃないか。今、起きている問題の原因はそこから発生しているのに、なぜ、自分たちの責任を放り投げて悪意に満ちた追求ができるのだろうか。マスコミも、なぜ新政権の瑕疵ばかり責めるのだろうか。
私は安冨さんにいろいろ聞いてみたいことがある。今夜は、その企画を立ててみよう。
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