二人の俳人
書店で「飯田龍太全集」をみつけた。彼は当代を代表する俳人だ。
厳しい言葉使いの美しい句姿には魅了される。
その句集の題に「春の川」とあって、その語にしばし陶然とした。
昭和23年以前の句に
夕されば春の雲みつ母の里
こういう日本の言葉の美しさを映像にとどめたいと思うが、なかなか
叶わない。
龍太は次女純子をなくした。その子は6歳で逝ったのだ。その出来事から
ずっと経って作られた句。
どの子にも涼しく風の吹く日かな
春の句といえば、一人忘れられない俳人がいる。本職は詩人だが、彼が
残した俳句もまた一級品だった。その名前は、木下夕爾。備後福山の人だ。
わたしが広島にいた頃、彼の番組を作ったことがある。木下は田舎町の
小さな薬局の主人で生涯を終えた人だが、残した詩も句も美しい。
家々や菜の花色の燈をともし
この二人に共通するもの、井伏鱒二と友達だということだ。
よかったらランキングをクリックして行ってください
人気blogランキング