秘めたもの
明日、午後9時30分から衛星第2放送で「向田邦子が秘めたもの」が放送される。
10年前に向田さんの没後20年を期して作った作品だ。今年は没後30年か。早いものだ。
この作品を作ったとき番組のタイトルをどうするか思案した。「向田邦子の秘めたもの」とするか「向田邦子が秘めたこと」とするか・・・。
彼女が秘めたのは、恋であり、父への思いであった。それらはモノなのだろうか。コトなのだろうか。迷うところであった。
制作したときは手紙の存在は世に知られていない。こういうものがあると、遺族から提示され、その背景を探っていくと、これは恋人からの手紙と恋人への手紙、つまり恋文だと感じた。そういうふうに読むべきだと私は判断した。以来、恋文という表現が定着した。その意味でも、この番組は私にとって忘れられないものとなった。
ところで、なぜ、恋人同士の2種類の手紙が、向田さんの手元にあるのかというのが一番大きな疑問だった。Nさんからの手紙は分かるとしても、なぜ向田邦子の手紙も向田さんの下に残されたのか。
リサーチをしていくうちに、Nさんは死亡していることが分かった。どうやら、その際に遺品として、Nさんに書いた手紙を向田さんは回収したと思われる。
この番組を制作したとき、私は51歳。向田の恋人への思いに共感していたのだが、61歳になった今の私には、向田の父への思いのほうに引かれる。という変化も年齢(とし)のせいだろうか。
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