秋霜烈日
秋霜烈日―草木を枯らすほど激しく厳しいもの。刑罰などがきわめてきびしく強いことのたとえらしいが、秋の霜というものが厳しく身にしみるという体験をここ30年したことがない。というか、霜が降りた朝をほとんど見ていない。
こどもの頃は、冬の朝窓にうっすらと白く降りた霜を見た。そんな朝はつま先から寒さがじんじんしみて、顔を洗いながら、お湯で洗うことができたらどんなにいいかと想像したことがあった。アメリカ映画を見ていると、冬の朝に道路から湯気が立っているのを見て、湯をふんだんに使える贅沢な社会だと羨んだこともあった。そんなことは、今の日本でも当たり前になったが、身が切れるような寒さもなくなった。温暖化のせいなのか。私が育った敦賀という北陸と東京の差なのだろうか。
サム・ライミの新作「スペル」を見た。あの「エクソシスト」以来の名作だと、おすぎが言っていたが、真っ赤な嘘。やはり映画評論家を信用するな、は正しい命題か。それにしても洋画の映画館は閑古鳥がないている。6時15分開演の回に入ったが、客は数えるほど。
映画を面白くさせていないのは、CG(コンピュータ・グラフィックス)のせいだ。あんなもの、すべて止めたほうがいい。と乱暴にも思ってしまうぐらい、映画はチャチだった。
帰りにブックファーストに寄った。店頭に向田邦子本が並んでいた。まもなく向田さんの誕生日がやってくる、たしか今年は80回目の記念すべき年だったはずだ。
彼女の若い日の写真の表紙を見ているうちに、なにか懐かしいものが甦った。
あの大きな黒い瞳のなかに恋人が映っていることを最初に気づいたのは私だったという誇らしいこと・・・。
向田本の山のなかに川本三郎の新書「向田邦子と東京」があった。手にとって奥付を見ると今年の4月に出版されている。川本さんなら外れないだろうと早速購入。
秋霜烈日をググったら、検察のバッジの模様を表す言葉だと出て来て失望した。
『使えるヘーゲル』を『使えるグーグル』と間違えるほどのアホさ加減。
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