成瀬巳喜男生誕百年
久しぶりに、成瀬巳喜男の映画「浮雲」をビデオで見た。林芙美子の小説を映画化したものだが、とても深い映像作品となっている。何度見ても感銘を受ける。
でも、今回見ていて一つ気になることがあった。この作品は芸術作品として世界的にも高い評価を受けているのだが、「冬のソナタ」とどれほどの差があるのだろうか。両作品とも男と女の入り組んだ関係を描き、高峰秀子や森雅之の卓抜な演技にチェ・ジウもペ・ヨンジュンもいい線まで行っていると思うのだが。冬ソナのほうが多少偶然性に負うところが多いとしても、それほど作品が見劣りするとは思えないのだ。
以前、文学の世界でも純文学と大衆文学の差異がはっきりしないことを、小谷野敦さんが語っていた。パール・バックの『大地』が純文学で、マーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』が大衆文学と区別するのは不自然ではないかと、記していたように記憶する。
映像も同様のことが言えるのではないか。テレビ、メロドラマ、という理由で通俗的で低い評価を与えるのは理不尽ではないだろうか。私はユン・ソクホという人物は誤解を恐れずに言えば、谷崎潤一郎にも劣らない才能をもった人だと思う。
今年は、成瀬巳喜男の生誕100年にあたる。彼の特集番組を企画しようかなと思って「浮雲」を見ていたら、また冬のソナタに逢着した。
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