つかのま
太宰企画が終わったと思ったら、すぐジブリ企画だ。
来週の月曜日に京都マンガミュージアムで収録される企画のことだ。館長の養老孟司さんがホストとになって、宮崎駿監督をゲストに迎えて、トークが行われる。これを収録するのだ。先週末から別班が準備を進めてきていて、昨日総合打ち合わせをもった。
太宰のプレス試写はうまくいったと安心したのも束の間、次の仕事が待っている。
体が大儀い。病気にならないように注意しておこう。タケ先生によれば、腰と膝を冷やすことは禁物だという。なにより、くよくよしていることが体に一番悪いと思われる。
この苦境から逃れることを考えなくては。
今朝、久しぶりにツヴァイク道の朝の光を浴びた。森に朝日が幾条もさしこみ、秋の草原が光に照り映えて息を呑んだ。最近詩情を忘れていた。鞄に「鈴木しづ子」があった。ある人からいただいた本だが、表紙に書かれた「夏みかん酢つぱしいまさら純潔など」というふてぶてしさが気になって、ページを繰っていなかったが、開いてみることにした。
この人は「娼婦俳人」と異称をとるそうだ。敗戦後の巷で、男を引いたことがあるのではないかと、俳壇では噂になったとか。
娼婦またよきか熟れたる柿食うぶ
なんて、挑発的な句を作れば、その伝説も生まれるかも。
霙けり人よりもらふ銭の額
この代価とは身を売ったものと、あさましき読者の妄想を呼ぶ句。
しかし、この人も、『斜陽』のモデル太田静子のように、ある道徳革命を起こそうとした人物ではないかと、書を読み進めながら感想をもった。
この女性の造語感は恐ろしいまでに鋭い。
実石榴のかつと割れたる情痴かな
これにくらべれば西東三鬼の「桃」の句などは可愛い。
昭和20年春の東京大空襲を詠んだ句
東京と生死をちかふ盛夏かな
欝たる気分のときに、こういうひりひりした句と出会うのも悪くはない。鈴木しづ子、あるときから行方が不明になったそうだ。伝説の女性俳人。今も生きていれば90歳。
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