秋風
とうとう母が入院した。検査の日、朝から痛みが激しく、受付時刻を早めてもらった。
午前中に検査を終えて、昼過ぎに医師から所見を聞いた。重篤な状態だ。さらに精密に検査するべきという助言を得て、入院となった。こちらとしては治療してほしいのだが、病状がきちんと把握できないと、本格的な治療には至れないそうだ。
といっても、前途は暗い。打ちのめされて、戻った。
何か鈍器のようなもので胸を叩かれたような、言い様のない痛みを覚える。
けっしてマザコンではないと思うが、これまでかけた苦労の数々が思い起こされて胸が痛む。母の体が急速に萎んでいく。
母の歌集を作ろうと思い立ったのは5日ほど前。句会の仲間、ぽんたさんは元デザイナーということで、洒落た個人句集を作っていたのを思い出した。そうして、デザイナーのダイゴさんを紹介してもらい、昨日原稿を渡した。歌集の題名は、母と相談して「五条坂」とした。大津生まれの母は、京都がフランチャイズ。キリスト教に出会ったのは、五条坂教会。大津から逢坂越えをすれば五条坂に出る。そういう意味合いをこめて、タイトルを決めた。NHK歌壇に入選した作品と、「信徒の友」歌壇で掲載された作品、合わせて110首ほど。それぞれに「折々の歌」「信仰の歌」として分類した。
嬉しいことに、作家の太田治子さんが歌集によせて、「愛の短歌」という文章を著していただいた。母が聞けばおおいに喜ぶにちがいない。
30ページにも満たない小さな歌集。
明日あると思ひ信じて米を研ぐ三百六十五日今宵も変らず
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