夜行寝台「北陸」の旅
立秋とはいえ、東京に戻ってうだるような暑さに閉口している。わずか3日前のことなのに、歩き回った北陸の旅が懐かしい―。
8月3日、上野の駅に10時に着いた。中央改札の外れにある北陸線のホームまで行く。
23時3分出発の夜行寝台「北陸」はまだ入線していなかった。ホームにはまばらな乗客しかいない。
22時45分、8両編成の夜行寝台「北陸」が入って来る。どこから湧いてきたのかカメラ小僧がばらばらと現れて、車体の勇姿をバチバチ撮り始める。
私にとっても久しぶりの夜行寝台列車なので浮き浮きした気分。作業の人たちが浴衣と敷布を車内に運び入れている。ズボンのまま寝ることを覚悟していたが、お仕着せの浴衣でもあれば体は楽だ。
私の席は先頭の8号車、8番の下のベッドだ。8月3日の指定番号は8並びでなんとなく縁起がいい。
さっそくシーツを広げメイクベッド。浴衣に着替える。8番9番の4つのベッドの一角を独占できると喜んでいると、若い女性が9番の上のベッドに入った。さっきまでの開放感は一気にしぼむ。
定刻どおり、列車は出発した。上野のネオンが見る見る遠ざかる。
シーバスリーガルの小瓶を取り出しちびちびとやる。落花生をつまみに。ゴトンゴトンと線路のつなぎ目に揺れる音を聞きながらベッドに寝転ぶのも悪くない。
30分ほどで最初の駅大宮に到着。誰も乗って来ないと思ったら数人はいってきた。発車するとまもなく室内灯が落ちた。ときどき思い出したように鳴る警笛がものがなしい。
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