三鷹禅林寺
生誕100年ということで、昨日の三鷹禅林寺の境内はたくさんの太宰ファンが押しかけた。テレビカメラだけでも10クルーはあった。
訪れた人の顔を見ていると、60代以上の男女が3分の2、若い人、特に女性が10パーセントといった割合だろうか。お寺の裏にある墓地にはおびただしい人が墓石の前に陣取っていた。
私は初めて参加したが、なんとなくこの桜桃忌の催事は太宰治にはふさわしくないような気がした。いちばん面食らったのは、太宰と掘り込まれた墓石にさくらんぼを埋め込むことだ。いくら桜桃忌だからといって、それはないじゃないの。なんだか、直方体の墓石がロボットになったみたいで厳かさもへったくれもあったものじゃない。道化を演じきった太宰ならそれもいいではないかという意見もあろうが、私は見たくない光景だった。
桜桃忌というのは、太宰の友人知人たちが始めたものであって、禅林寺にはまったく関係ない。だから、寺内の集会室のようなところで、太宰をしのぶ会が行われたが、どうやら関係者が仕切っているようだ。太宰の最後の弟子という人の「思い出話」が話されていたが、講演の途中で主催関係者が、大きな声で「写真を撮らないように」と制止する声が不快だった。「ケータイが話しの途中で一人でも鳴ったら、この会はすぐ中止しますから」と居丈高なものいい。なんだか、太宰のイベントを行うということに優越の意識をもっているようだ。
山門のところには、新しく発刊される太宰の選集の宣伝ビラを配る人や三鷹観光協会の「太宰ゆかりの場所」というチラシを配る人がたむろしている。ゆかりの場所のチラシには、太宰が居住していた跡、情死して発見された場所、山崎富栄の下宿などがコースとして記されてあった。だんだん私は不愉快になってきた。
早々に寺を離れ、三鷹駅に向かう。途中、古書店には太宰本がずらりと並べられ、酒屋には太宰生誕100年記念の青森産日本酒のビンが店頭に配置されていた。
夜9時のニュースでも、この日の様子が企画として流されていた。
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