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夕闇のなかの大雄山荘

夕闇のなかの大雄山荘

国府津のインタビューを終えたのが5時。車で下曾我に向かった。日はまだあって、梅雨晴れの青空が広がっていた。山陰の道をうねうねと登っていくと、曾我兄弟ゆかりの城前寺があって、その門前を抜けて、山里に入る。梅林のなかに農家が点在する。突き当たるとT字路になっていて、その右側に大雄山荘があった。

戦争が始まった頃、太田静子は親戚の紹介を得て、小田原下曾我のこの地に母と共に移り住むことになる。この地の分限者が金にあかせて作らせた中国風の洒落た別荘で、建物は当時のままであるが、住む人が絶えて20年、塀内はすっかり荒れ果てている。板塀は前に傾き、庭は草が茫々。軒先にはくもの巣がいたるところに張られ、樋には落ち葉がたまっていた。さるすべりやケヤキの木が大きく茂り、鬱蒼としている。玄関の前には2頭の石の羊が並んでうずくまっている。これだけが往時の華やかさを伝えている。
百日紅(さるすべり)を見ながら、太田静子は太宰治に、太宰さんはこの百日紅のように複雑といったかひねくれているといったかはっきりしないが、そう言ったそうだ。治子さんが母太田静子から聞いている。それを聞いた太宰は苦笑していたという。

この建物に太田静子は昭和19年から26年まで住んだ。23年に娘治子が産まれ、彼女が3歳までこの山荘にいたのだ。久しぶりにこの地を訪れた太田治子さんは懐かしそうに中国風の冠木門の柱を触れ、さすっていた。彼女はここにあった池に落ちた思い出をもつ。その池も今は土砂に埋まっている。

この山荘の向に農家がある。西久保さんの家で、太田母子とも親しかった。当時のことをご主人に聞いた。『斜陽』では主人公かず子が小火(ぼや)騒ぎを起こすが、これは実際にあったことだ。静子が風呂を沸かしているときに起きた。灯火管制下だったので、近隣の人も巻き込んで大騒ぎとなったのだ。その出来事を西久保さんはよく覚えていた。焼け跡の焦げ目は今も建物に残っているそうだ。わが取材班は敷地のなかに入ることは許されていないので現認したいが叶わない。

少年だった西久保さんが覚えているのは、いつも歌を口ずさみながら陽気に掃除をする太田静子の姿である。戦後はずっと机の前に座ってモノを書いていたということが忘れられない。古いアルバムを取り出して、当時のことをあれこれ話してくれた。インタビューが終わってから、西久保さんの奥様が梅ジュースと取れたてのプラムをご馳走してくれた。よく冷えたプラムはジューシィで甘く美味であった。

西久保さんのインタビューを終えて外に出ると、夕闇が迫っていた。大雄山荘は夕暮れの薄日のなかでぼんやりと建っている。半ば朽ちたその姿ではあるが、ある種の神々しさを漂わせていた。

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夕闇のなかの大雄山荘_c0048132_7561871.jpg

by yamato-y | 2009-06-18 22:15 | 斜陽を考える | Comments(0)
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