雨はあがって
越生というのは関東絹の道の要衝にあった。関東平野の北部、秩父山系と接するやまなみのなかに、静かな街があった。
そこの正心寺というお寺で、内田さんの法事がとりおこなわれた。親族のほかに20人ほどの友人、知人が集まり、本堂で回向が行われた後、裏山の墓地で内田さんのお墓に線香をたむけた。
法事のあと、麓の料亭で直会があった。友人の一人が献杯の音頭をとった。東京教育大の同窓生だが、彼の挨拶に「内田君は大きな仕事をして風のように去った」と語った。風のように去ったという表現が、心に響いた。そういえば墓地に立ったとき、森の奥から遅い鶯が鳴いていた。武州のやまなみに抱かれて、内田勝は静かに眠っているのだと実感した。
宴会の席では、梶原一騎未亡人の高森篤子さんと隣同士となり、梶原さんのエピソードをたくさん聞いた。これまで知られていない梶原像が浮かび上がる。つい、仕事モードになり取材してしまった。
朝11時に越生駅に立ったときは雨が残っていた。本堂での法要の間もぬか雨が降っていた。お墓参りの頃はすっかり雨があがった。
そして、内田さんを偲ぶ宴会が終わった、午後4時過ぎ。雨もあがって、緑の海が広がっていた。
私は高森さんのベンツに便乗させてもらい、池袋まで出る。その間、高森さんの楽しいおしゃべりに耳を傾けた。
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