右手にジャーナル
「朝日ジャーナル」が店頭に出ていたので、思わず買った。創刊50年と銘打ってある。ジャーナルは、「少年サンデー」「少年マガジン」と同じ1959年に創刊されていたのだ。当時は週刊誌ブームだったから、硬派の週刊誌として朝日新聞社から発刊された。長く左派の雑誌として大学生の必携の書だった。時代を読むのは朝日ジャーナルを通してというのが60年代の風潮だった。70年安保が日程に上り、全国で大学闘争が始まると、ジャーナルはますます愛読された。神戸大学や富山大学で起きている状況などは、この週刊誌を通して知る。
当時、月刊誌は「世界」「現代の眼」、週刊誌は「朝日ジャーナル」と「平凡パンチ」「プレイボーイ」だった。68年ごろになると、「少年サンデー」「少年マガジン」がそのリストに並ぶようになる。右手にジャーナル、左手にマガジンなんて言葉も生まれた。
92年に終刊になったと思っていたが、どうやら休刊扱いになっていたようだ。
今回は創刊50年ということで緊急増刊されたようだ。表紙の隅に週刊朝日緊急増刊と小さく書かれてある。どうやら、「週刊朝日」の軒先を借りての増刊らしい。
目次を見ると、新旧の左派の論客の名が連なっている。
旧世代には懐かしい名前がある。鶴見俊輔、見田宗介、柄谷行人、浅田彰、吉田司、加藤典洋、高村薫、吉岡忍・・・。
新しい名前には注目しておきたい。東浩紀、斎藤貴男、平野啓一郎、湯浅誠、山森亮、浅尾大輔、雨宮処凛、赤木智弘、杉田俊介・・・。
巻頭のコラムは、「風速計」。歴代編集長が筆を奮ってきた場だ。この特集号では、仮編集長という立場で山口一臣週刊朝日編集長が書いている。この国への強い危機感、というタイトルをかかげているだけあって、現代に対する強い危機感が文章に溢れていた。
内容はいろいろあったけど、私は中森明夫の司会による鼎談「言説空間が失われ 批評と物語が衰弱したいま」がおもしろかった。浅田彰、東浩紀、宇野常寛の3人の論客が現代思想の潮流について語っている。浅田は全共闘世代とか0年代とか、世代論にかたむくことを好んでいない。その姿勢に好感をもつ。東は現代の批評が衰退していることに危機感をもっている。彼は、後進の育成に情熱をもっているようだ。そういう者の相互批判の場を、東はなんとか作りたいと考えていた。
それは、「要するにケンカできる場所を確保することですね」と浅田が、ちくりと批評しながら、後輩をからかっている。彼がいまや論壇の真ん中にいるのだなあ。隔世の感。
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