生存権
なにげなくチャンネルを合わせて見た番組だったが、つい引き込まれた。
「いま問われる25条“最低限度の生活”」という憲法記念日特集だ。3人の論客が、今経済危機が進行する中で、生活保護を申請する人が急増していたり、派遣切りされて生活が立ち行かなくなっている状況をいかに捉えるかという番組だった。3人とは、作家の五木寛之,ノンフィクション作家の吉岡忍,反貧困ネットワーク副代表を勤める作家の雨宮処凛。
憲法第25条とは「生存権」を指す。「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という権利が今失われつつあるという現状を、番組はよく報告していた。そして、番組で浮き彫りになったのは、若者の貧困、高齢者の不安だ。
世代論的に語ろうとするのは五木。それに比べて、雨宮は世代を越えて階級の問題ではないかと指摘しているところに、私は心惹かれた。というか、五木の超越的なものの見方に違和感をもった。今起きている事態の深刻が、彼のなかでは響いていない。自分の敗戦直後の貧困を引き合いに出して現在を相対化するのだが、私のような古い世代のものでも、その論調には肯んずることができない。なんだか、スペイン内戦を語っていた五木が、この数年親鸞や仏寺を語っているうちに、世間とずれてしまったなという印象をもつ。
吉岡は、私と同じ団塊世代で70年代の闘いを経験しているから、雨宮にシンパシーをもっているものの、やや司会に徹しすぎたのか、自分の意見はあまり語らなかった。
なにより、30代の雨宮の考え方に惹かれた。もっと彼女の認識や運動方針などを聞いてみたい。
生存権の問題は人と人とのつながりに収斂し、現代の社会システムの問題にほかならないという、3人の共通認識には教えられるものが多かった。
それにしても、憲法記念日特集番組というのはながく憲法9条を取り扱ってきたが、25条の問題が喫緊になるほど、不況は深刻さを増している。
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