イタリアの旅9
アルベ・デルチ
今朝も快晴だった。最後のサンマルコ広場を見ておこうと、カメラをもって朝日に照らされる路地を抜けて走った。7時だというのに、広場には百人あまりの観光客がいた。
サンマルコ寺院そばの海には光の粒がキラキラ溢れていた。朝日が寺院の壁や尖塔の上の金獅子を赤く染めている。風は吹いているが寒さは感じられず心地よい。
20分ほど撮影して、広場を離れた。7時半から朝食が始まるから急がなくてはいけない。
ホテルにもどってダイニングに降りてみると、30名ほどの日本人団体客がいた。若者から私のような年配まで男女さまざまな人がいる。そっと観察すると、団体メンバーは和気藹々と会話を交わしている。どうやら、旅に出て数日になるようだ。時折談笑がもれる。団体行動が苦手で、我儘な私などは、その輪に入りたくても入れそうもない。
8時55分、空港まで送ってくれるジュージーさんが来た。海上高速タクシーでこのホテルの船着場からベネツィア対岸のマルコポーロ空港まで搬送してくれるのだ。キャリーバッグを船に積みこむや早速、船長はエンジンをかける。船はバックしてホテルを離れる。水路をくねくねと曲がりながら、大運河を目指す。
大運河に出た途端、船は高速になった。猛烈な勢いで波を蹴立てる。ぐんぐんベネツィアの町が遠ざかる。行く手に冠雪した高い山々が見えた。アルプスかとジュージーさんにたずねると、アルプスの手前の高い峰だという。雪の白さが目にしみる。白きたおやかな峰々か。
わずか30分足らずでマルコポーロ空港に到着。アリタリア航空のカウンターでチェックをすませる。復路はまずローマに出て、国際便に乗り継ぐことになる。ここまでジュージーさんが手続きを代行してくれた。ねんごろに礼を言って別れた。
11時半、飛行機は飛び立つ。真下にベネツィアが見える。地図どおり、大運河が逆S字状の渦巻に流れている。周りの島々もうす青い海の上に浮かんでいる。まさに青いラグーナがそこにあった。
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