ローン・レンジャーがやってきた
クラシック音楽が苦手な私はときどき大勘違いをする。その一つがロッシーニだ。中学生の頃、音楽の時間にロッシーニの有名な曲を聞かされ。流れたのが“ウィリアム・テル序曲”。曲名を問われて、私は思わず『ローン・レンジャー』のテーマと答えたことがある。
1960年代前半、アメリカ製テレビ映画が流行った。週に20本ほどあった。当時、5社協定などがあって、日本の映画界はテレビに対して非協力だった。テレビのソフト(番組)が不足していたということもあって、海外からの作品で補っていたわけだ。なかでも西部劇はテレビの主役だった。毎日、どこかのチャンネルで必ず西部劇が放送されていた。「ガンスモーク」「ララミー牧場」「ローハイド」「ボナンザ」と並ぶ西部劇のなかで、好きだったのが、「ローン・レンジャー」。白い帽子に黒いマスク、腰には二挺拳銃を下げていた。いつも白馬のシルバーにまたがり従者のトントを連れていた。その姿は怪傑ゾロに似ていた。
元々、「ローン・レンジャー」はアメリカンコミックスから始まり、1930年代にラジオドラマになっていた。スーパーマンと並ぶほどの人気があった。戦後、クレイトン・ムーアの主演でテレビ・シリーズとなりテレビでも人気番組となったのだ。西部の開拓民の家族が悪漢に襲われて危機が迫ったとき、どこからともなく現れて救出するヒーローがローンレンジャーだった。このレンジャーが登場するときに流れるのが小気味のいい”ウィリアム・テル序曲”だった。ハイヨー シルバー!という掛け声、シルバーが嘶(いなないて前足を高く揚げ、次に疾駆する。この一連のアクションにウィリアム・テル序曲が伴奏するのだ。格好いいなあと憧れた。
番組の最後に懸賞募集があって、弟と二人で応募した。数日後、選外となった通知が絵葉書で届いた。それはシルバーにまたがったレンジャーが微笑む姿だった。番組宣伝用の葉書だったかもしれないが、私には大事な宝物となった。箪笥の上のラジオの横に立てかけて、いつもうっとり見ていた。
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