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あるエピソードから

あるエピソードから~小高文夫の映像について~

葬儀を終えて、まっすぐ大磯へ戻った。本日は休暇をとって、大磯の家で、友であった小高くんの仕事について考えてみたかった。

1989年から90年にかけて、私は小高くんといっしょに「世界はヒロシマを覚えているか」というドキュメンタリーの撮影取材を行った。このとき、大江健三郎とヒロシマのつながりについて洞察しながら、おりしも冷戦末期で局地的核戦争の可能性が高まっていて、その事態を大江が見るため現地を行くという、二つの場を持つスタイルを番組は志向した。

私は大江さんと番組の打ち合わせを何度も重ねた。その頃、大江さんは映画「ストーカー」(アンドレイ・タルコフスキー監督)にご執心だった。今度作ろうとする番組は、あのタルコフスキーのような深い映像にしたいものだね、と何気なく言った大江さんの言葉は、制作担当である私やカメラマンである小高くんを十分に震え上がらせた。番組のお手本として映画が上がる。しかも、あのタルコフスキーの映像・・・。

冗談じゃないですよ、と小高くんは謙遜したが、それから半年にわたる長い旅の間、ずっとその言葉に挑むようにして彼は撮影してゆく。小高くんは見かけの優しさと違って、負けず嫌いであり、誇り高かった。
東西両陣営のオピニオンリーダーと大江さんが対話するという点が、番組のキモではあるが、その旅先で見せる大江さんの感受性と思索が大きな魅力となっていく。それを、小高くんは素晴らしい技術と感性で、現場を一度も遅滞させることなく、鮮やかに切り取っていった。

サンフランシスコの小さな、大江さんお気に入りの教会を訪ねたときだ。平日だったので会堂には大江さん以外誰もいない。祭壇の下手に掛かっている聖画の前に小説家は立った。まんじりともせず、しばらくその絵に見いっていた。
大江さんが溜め息をもらし緊張がほどけた段階で、なぜこの絵に引かれるのかを、私は脇からインタビューした。「河を渡る人」というその絵はキリストを背負うヨハネの絵であった。否、記憶がおぼろだ。ヨハネを背負うキリストだったかもしれない。――その絵に、大江さんは自分と息子の光さんを重ねていたようだ。苦しそうにだが大切そうに、大江さんは、息子と歩んできた道について、一つのエピソードを語った。この場面を撮影するのに半日かかった。

その夜、ホテルに戻って、私ら制作陣はラッシュを見た。小高くんは、蒼ざめた大江さんを撮っていた。どういう色調整をしたのか、聖画を見つめる大江さんの顔は蒼ざめ、目の光だけが、その蒼さから抜きでていた。その映像は、大江さんのインタビューに答えた内容にふさわしいものであった。

蒼ざめた画像の種明かしをすれば、屋外から教会のなかへ入った段階で、カメラはいったん色調整をするものだ。それをしていない。もし、そうするなら、撮影対象(ここでは大江さん)の動きを止めることになる。カメラの都合で、動きを止め思索を止めることになる。高まっている大江さんの思いがしぼむことが十分考えられた。
ところが、小高くんは大江さんの動きを一度も止めずに、続行して撮影する。当然、不自然な色になる可能性は高い。だが、それは大江さんの苦しい胸のうちを反映するかのような蒼ざめた画像になるかもしれない。ケガの功名で、結果としていい感じの映像になったということはあるかもしれない。だが、失敗すれば、ぜっかくのチャンスがすべてふいになる。彼は、賭けた。積極的に押し出したのだ。しかも、大江さんの眼光が光っていく瞬間を逃さずに、撮影は攻めていった。

これは、彼に運が味方してくれて、いい映像になったのではない。実は、彼は、テレビカメラの機能をすべて把握していて、撮影している対象に当たる光量から、どのスィッチを使えば、画像がどう動くかは知悉していたのだ。分かったうえで、カレンダーのようなリアリズムの映像でない、「カメラマンの認識としての映像」を作り上げたのだ。

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あるエピソードから_c0048132_1238563.jpg
小高くん愛用のフィルムカメラ
by yamato-y | 2009-01-08 22:38 | シリーズ作品回顧 | Comments(0)
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