「傷だらけの育て直し/家族修業」 フジテレビ 2005年1月18日放送
非行をおかした少年たちを引き取り、自宅で面倒をみている男、伊藤幸弘51歳。元暴走族の総長、強面だ。彼は問題を抱えた少年たちを引き取り、彼自身と実の娘2人と共に一つ屋根の下で暮らしている。ここで取り上げられているのは前回取り上げた「夜回り先生」と違って少年たちだ。
家庭内暴力、盗み、情緒不安定など少年たちはさまざまなトラブルをかかえている。
少年A、19歳。彼は暴力で母を傷つけた経歴をもっている。3年間伊藤の家に寄宿するなかで向学の志が現われ次第に立ち直っていった。そして母に会いに行く事になる。3年間のブランクを越えて二人は和解する。その側に伊藤はそっと立ち会い心を配っている。見かけによらず、伊藤は繊細でやさしい。
もう一人の少年B、17歳。彼は家に来てまもない。伊藤父娘は彼の素行に振り回される。幾度も改心を誓いながら裏切る少年B。彼の懲りない行動に見る側はやりきれなさをもつが、リアリティを感じもする。
一方、話が出来すぎているという部分が気になる。少年Aが母と再会するシーンだ。ホテルの一室で、母と叔母、少年と伊藤の4人が集まる。ナレーションで「二人を残し伊藤とおばさんは部屋から出て行った」と語られる。母とAだけになる。カメラはそのまま撮影を続けている。息子は沈黙を破って口を開く。「自分が悪い事をしたって、すごく思っていて、結局今まで謝れなかった・・・」と告白する。母の目に涙。大事な場面だ。それは分かるがなぜカメラという他者の前で、こんな重大な話ができるのか。信頼されている伊藤ですら外へ出ているのに、カメラがきちんと撮影していることに違和感をもってしまう。
――部分的に制作のスタンスに首をかしげることが見られる。だからといって、このドキュメンタリーの訴えるメッセージ、主人公の伊藤幸弘の魅力、などが弱まるわけではない。
とりわけ、伊藤の二人の娘のけなげさは心に残った。

「傷だらけの育て直し」から
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