予定が狂った
週末、少年週刊誌の誕生秘話をきちんとまとめようと思って、資料やデータも持って帰ったにもかかわらず、まったく仕事にならなかった。オースターの『幻影の書』に夢中になったからだ。とにかく読了したのが今朝の9時。思いのほか時間がかかってしまった。
昨日は朝から冷たい雨が降っていたから図書館に本を返却に行って、オースターの続きを読んで昼過ぎには、仕事にとりかかれると予定していたが、そうとはならなかった。北陸に転勤している息子や浜田山でアパート住まいしている娘が帰って来て、あれこれ話すものだから読書する具合でもなく、だらだらと時間は流れた。
おまけに、先週末の忘年会続きで体もほっこりしていた。そのうちに、娘は卒論の相談を持ちかけてきた。今度の金曜日が締め切りで、一応書き上げたのだが、構成がはまっていないから見てくれという。「2つのヒューマニズム」というようなテーマで、パリのドアノーと日本の木村伊兵衛という二人の写真家の人生を比較して、その共通点を探り、その相違点にユマニスムの受け止め方の日仏の特徴が出ているということを論証している。2万字の原稿を読むだけでも疲れるが、さらに批評するとなると大変だ。すっかり時間をとられた。
夕方、みんな帰って行ったので、やっとオースターの続きを読む。その段階でまだ3分の1物語は残っていた。しかも、ここから新たな物語が思いがけない展開へと入っていく。だんだんオースターの文章に私もスィングしてくる。ハイリキを飲みながら読み進む。
とはいうものの、オースターのうまい言葉遣いにその都度感に堪えず、書を置いてため息をつく。だからなかなか進まない。
そうこうするうちに22時となり、ETV特集が始まった。先日亡くなった加藤周一さんの遺言のような番組だ。見逃せない。90分間、テレビの前に張り付いた。新しいことはなかったが、加藤さんが1968年に最後にこだわったということに、不思議な感銘を受けた。当時のchangeは「反抗」。現代のそれは何になるのだろう。それとも、アメリカでは起きて日本では起きないのだろうか。と、わらわらと考えながら、再びオースターに戻るが、なかなかその世界に戻ることができず、心がダイブしない。ついに布団から起き出て、台所のテーブルに座りこんでグラッパを飲みだす。きつい酒だ。
およそ1時間。1時を回り、眠気が襲ってきた。寝床にもぐりこむ。
そして、今朝、目が覚めるとオースターを手にとり、一気に最後まで読み上げた。面白かった。
ということで、この週末はまったく予定が狂ってしまった。
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