喪中の葉書
今夜、大磯に帰宅するとポストに手紙や葉書がたまっていた。
11月の声を聞くと、年賀状の欠礼を告げる喪中の葉書が多くなる。
その一つに、長崎からの旧友のものがあった。あまり懐かしいのでつい電話した。夜9時半を回っていたので失礼かなと思ったが、思い切ってかけた。
男性が出た。ああ、Mさんは再婚したのだと、一人合点した。名前を告げると、その男性はちょっと待ってくださいといって、電話を置いた。
しばらくして、30年前の仕事仲間が電話の向こうに現れた。
「元気?」と聞くと、「ううん、あんまり元気じゃない」と答える。たしかにか細い声だ。さっき電話に出た人はお父さんだと語った。
それ以上は詳しいことは尋ねず、励ますことだけした。「おいらもさあ、この3年自信がなくぐずぐずしていたさ。でもさ、他人を力づけることで自分を引き揚げることもあったものなあ。あんたもさ、ガラッと変えてみるのも人生よ」と知ったかぶりで話した。
その人は「うんうん」と聞いていた。その人は、私が初めて本を書いたときのイラストを描いてくれた人だ。あの頃は、輝いて仕事をしていた。
また、いつか会おうねと言って電話を切った。
人生って難しいしシンプルでもある。うねうね曲がっているようで、後から見たら一本道だったりする。Mさん、そろそろこのあたりで人生のハンドルを大きく切ろうよ。
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