卒中くらぶ
60まで生きてくれば、何かかんか病気をかかえているものだ。私の周りにも糖尿病、脳卒中、心臓疾患などになっている人が多い。私の場合は脳卒中だ。13年前、47歳のときに脳出血を発症した。
脳卒中とは,脳の血管がやぶけたり(脳出血),つまったり(脳梗塞)して,急に手足の麻痺やしびれ,あるいは意識障害などの症状が出た状態で、脳の血管内のトラブル全体をいう。くも膜下出血や脳血栓も含まれる。今でこそ医学の進歩により死亡原因の1位ではなくなったが、昭和55年まで長くトップだった。たしかに、私もそのおかげで一命をとりとめたし、後遺症もなく今も生きている。
13年も経過すると、闘病したときの苦しさを忘れて、つい愚かで贅沢なことを言っている自分にときどき気がつくこともある。昨日、同年の友と話していてそう思った。
彼は半年前に発症した。現在リハビリ中だ。不自由な片手を懸命にかばいながら、現在闘病に励んでいる。ぽつりと言った。「この病気をやってさ、一番口惜しいというか腹が立つのは同情されること。哀れみの目だな」病院へお見舞いと言ってやってきた会社の連中のなかには、蔑みの目で口先だけの見舞いをいう奴がいたと、彼は言った。
「入院しているときに、こんな苦しいぐらいなら死にたいとなんども思ったよ。でもさ、俺の隣のベッドに30代の男がいて、一生懸命リハビリ訓練をやっているのを見ていたら、なんて俺は愚かなのだと思ったよ」
その男性はホームで一瞬意識を失って線路に転落した。そして両足をやって来た電車によって轢かれ、切断という身になった。身長180センチもある美丈夫だったが、義足をつけることになり、体重を60キロまで落とすことと筋力をつけるために毎日リハビリ訓練に励んでいた。友人はその姿に励まされたというのだ。
私はその友人と話していて励まされた。一生懸命生きようとしている彼の姿や意思に心動かされた。つい、ぶうぶう文句を垂れている自分が恥ずかしくなった。彼が私に向かってこう言った。「おい、卒中くらぶというのを作ろうか。まわりにいっぱい経験者がいるからさ。おまえが最初になったから、おまえが会長で、俺が副会長」
たしかに周りを見渡しただけで4,5にんいる。脳出血、くも膜下出血、脳血栓など。
そういえば、熱中クラブという番組があったから、それをもじってのネーミングか。うまいこと言うなあ。これぐらいジョークが言えれば来春には彼もかなり恢復するだろう。
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