血染めの唐獅子
見終わっても唐獅子牡丹が身内に流れている。健さんの昭和残侠伝「血染めの唐獅子」だ。
主題歌「唐獅子牡丹」2コーラスの歌詞がいいのだ。
♬ 親の意見を 承知ですねて
曲りくねった 六区の風よ
つもり重ねた 不幸のかずを
何と詫びよか おふくろに
背中で泣いてる 唐獅子牡丹
河津清三郎のごうつくな親分、天津敏の嫌みな舎弟に対してぶちぎれた花田秀次郎。寄り添うのは幼い頃からの喧嘩友だちで池部良演じる重吉。
二人が殴り込みをかけるために、道行きする場面。かつて金沢の東映映画館で見た興奮が甦る。
夜の浅草(エンコ)の路地を抜けていくとき、思わず「ケン・サン」と声をかけたくなる。
40年ぶりに侠客ものを見て、あまりの臭さに鼻白むかと予想していたのだが、そうとはならなかった。
ご都合主義でお決まりの筋とは知っていても気にならない。悪どい親分の理不尽な仕打ちに耐える秀次郎。けなげな恋人ふみ、盟友重吉らの人生が、
芝居と判っていても、胸を騒がせる。
堪えて堪えて、こらえられなくなったとき、秀次郎が決意する。匕首をのんですっくと立ち上がる健さんの着物姿に思わず感情が投影される。
むむ、おいらも立ち上がって、あのにっくき奴めを叩き切ってやる。
監督はマキノ雅弘。娯楽映画の王道の演出だが、登場人物がみなそれらしく、今の芝居のような俳優の顔でなく役の顔であるのに驚かされる。
鳶職の共同体に憧れる。時代錯誤といわれようと、兄弟つながりの振る舞いがなんとも心に沁みる。
それにしても、高倉健のたたずまいはあきれほどぴったりだ。所作も美しい。
渋い芝居だったが、ワキの水島道太郎に感心した。
当分、任侠ものにはまりそうだ。
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