定年再出発  


懐かしい空
by yamato-y
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朝の散歩

目黒自然教育園

日曜の朝、雨上がりの公園を散歩した。冷たい雨があがったものの、桜の花は終わりをむかえている。
しずこころもなくはらはらと散っていく。
自然教育園には中央に大きなひょうたん池がある。ほとりの大きな桜が万朶をつぎつぎに放つと、水面に舞い降りた花びらは重なりあって花いかだを作る。

草むらにすみれが咲いていた。野のすみれは可憐だ。
園内の湿地にひときわ高い木があって、そこに大きな水鳥がとまっている。
こんな大型の鳥は、この園では初めて。
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by yamato-y | 2013-03-31 13:11 | Comments(1)

あらためて昭和

あらためて昭和

桜を見ていのちを思うと書いたら、「風雅」さんが茨木のリ子の「さくら」という詩のことを教えてくれた。いい詩だ。今年の桜が散る前にこの詩を知ることができて幸せだった。

昨日、寝しなに見た「生さだ」を引きずってしまった。さだまさしのテレビのDJ番組で、昨日は特別豪華なキャスティングだった。加山雄三、南こうせつ、岩崎宏美、坂崎幸之助、橋幸夫など昭和の歌い手たちが続々登場した。少しだけ見て寝ようと思っていたら、生番組の勢いに乗せられて午前2時まで夜更かしすることになった。そして、あらためて昭和という時代を意識した。

 私にとって昭和なんて当たり前のことで、今でもそのなかにとっぷり沈んでいる。平成と名前が変わっているが、昭和の続きで、昭和の弟のような時代だと認識しているが、新しい世代にはそうとは見えていないのだということを、はたと気づいた。

 4月12日から大学で講義する映像メディア論。今、その準備のノートを作っているが、社会の変動と映像というようなテーマで半年間授業を構築しようと考えていた。大きく社会が変化したとき映像はどんなふうに捉えてきたか、表してきたかということを考察しよう。その例として、昭和が終わった1989年前後のことをとりあげようかなと考えていた。バブルの破綻、美空ひばりや昭和天皇の死、ベルリンの壁崩壊などをとりあげようと考えていた。

 だが昨夜の「生さだ」の昭和の歌い手たちを見ていて、これらが今絶滅危惧種になっていきつつあるのかと気づいた。南こうせつがいみじくも指摘していたが、今どき郵便はがきでのコミニュケーションはない、ほとんどメールで済ませる時代になった。道路という道路はすべて舗装された。喫茶店は減りくわえ煙草は消えた。居酒屋に女性客が増えた。その変動ぶりがあらためて私のなかで可視化されたのだ。中村草田男が「明治は遠くなりにけり」と気づいたように、だ。

 日曜日の朝の寝床で、足駄を鳴らして歩いたこと、貸本屋でえろい本を盗み読みしたこと、祭の夜店で悪さをしたこと、修学旅行の前夜に眠れなかったこと、花見で田舎の親父がべろんべろんに酔っぱらっていること、そろばん塾に通ったこと、を次々に思い出していた。

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by yamato-y | 2013-03-31 08:21 | Comments(1)

ぼっけもん

ぼっけもん

このブログの右端に記事のランキングがある。そこに「気になる漫画」が挙がっているのはなぜだろうと気になった。それは70年代後半にヒットした漫画に関するもので、私がもっとも心揺さぶられた恋愛ストーリー漫画「ぼっけもん」に対する思いをつづったものであった。

 と、それに関連する情報をネットで探すと、作者のいわしげ孝さんが亡くなったという記事に遭遇した。58歳の若さで肺がんであったとある。驚いた。そういう「時事」的なこともあって、このブログをチェックする人たちがいたらしい。だが、私の記事が目立つぐらい、いわしげさんの存在はつましく地味なものであったのだろうか。

 彼の描いた青春ドラマ「ぼっけもん」は戦後漫画史に残る名作だったと私は考えている。
もう、あの“熱い思い”をこめた漫画を見ることはできないのか。一途に人を愛する思いというものが、いわしげ孝の手による形象化として出現しないのか。
「キャップテン」のちばあきおが死去したときと同じくらいの衝撃をうけた。

 遠い昔に読んだままになっているから精確ではないかもしれないが、「ぼっけもん」は熱血漢の浅井が思慮深い聡明な女性秋元に恋する物語であったと記憶している。秋元への慕情をもちながら、なかなか胸襟を開くことができない浅井の心情に共感しつつ、一方でもどかしさを感じて、毎週やきもきしたものだった。
作者のいわしげさんは寡作だったから、この「ぼっけもん」が終了してからはなかなか作品に出会うことがなかった。4,5年ほど前に連載が始まった「単身花日」で再び巡り合うことになったが、「ぼっけもん」とちがって妻帯者の恋というシチュエーションはあまり胸をときめかせることが少なかった。この作品は大きな評判をとることもなく早々に終幕をむかえた。なんだか、息の短い漫画だなといぶかしく感じたが、今となっては作者は病気がちだったのだろうかと推測するしかない。

いわしげ孝は鹿児島の出身、鹿児島を舞台に物語を作った。登場人物たちの造形はどれも熱く、魅了した。唐突かもしれないが、昭和初年に活躍した鹿児島の俳人篠原鳳作を彷彿させる。宮古島の分教場の教師として赴任し、島の若者のために情熱を傾けた篠原。海の旅を幾度も重ねながら本土と宮古島を往復した。そのおりに作った無季句の名作がある。
しんしんと肺青きまでの海のたび

南溟の海に広がる群青。いわしげ孝さんの漫画からいつもそんな純粋を嗅ぎ取っていた。

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by yamato-y | 2013-03-30 13:15 | Comments(0)

酩酊の夜更けに

酩酊

昨夜は午後7時半まで残業していた。終わって、3人と近くの居酒屋に出かけた。
小座敷に上がり込んで飲む酒は久しぶりだったせいか、長っ尻になった。家に帰り着いたのが11時過ぎ。したたか酔った。
持ち帰って読もうとしていたよしもとばななの新刊本も読まずに寝た。

夜中、目が覚めた。暗闇のなかで行く末を思った。あと、どれぐらい生きているだろう。どれぐらい番組を作っているだろう。
中野孝次も老年期はできるだけ身軽にしろと警告している。あれもこれもと欲張らないようにしなくてはと言い聞かせ、では何をよすがにして生きるべきであろうか。などということを、行きつ戻りつしながら考えた。

 今年も桜を見ることができた。
 69歳の西行の歌に共感する。
「年たけてまたこゆべしと思いきや命なりけり小夜の中山 」またこの中山の山道を越えることができるだろうか。こうして越えていけることがいのちそのものじゃないかと西行はそのとき掴んだのだ。
 今年の桜を見ながら、西行の心境と同じものを感じた。

 3月29日。花はまだついている。今年は息が長い。


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by yamato-y | 2013-03-29 08:46 | Comments(1)

歌舞伎座、開場

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歌舞伎座、杮落し

27日夜6時からの歌舞伎座開場式に立ち会った。
改装なった新歌舞伎座のお披露目とあって、夕方6時にはおおぜいの招待客がつめかけた。
幕があがると、「寿式三番叟」が始まる。玉三郎、仁左衛門そして三津五郎の名手が舞う。三味線だけでも7人並び、豪勢な踊りが示された。昔から杮落しには能楽で祝賀に演じられる「翁」にならった「三番叟」が上演されると決まっているそうだ。

 会場内は前の歌舞伎座と変わらない風景。だが建築資材などはすべて新しい耐震用に変えたというが、外観は昔のまま。座席が広がりゆったりとして鑑賞できる。私の席は、一階の18列39番。上手の最果てだが居心地は悪くない。
途中休憩をはさんで第2部の挨拶。坂田藤十郎の祝辞、菊五郎の手締め、などめったに見られない風景を堪能して、午後7時半終了した。

さて、4月から来年3月まで杮落し興行が始まる。4月の出し物が豪勢だ。
まず「熊谷陣屋」がある。熊谷直実は吉右衛門、相模が玉三郎。2部が「弁天娘女男白浪」で弁天小僧が菊五郎だ。これが一番見たい。3部は仁左衛門による「盛綱陣屋」。この物語も噂では聴くがまだ見たこともなく、見てみたい。しかし、これほどの演目を見ようと思えば、小遣いはいくらあっても足りない。計画視聴するしかない。もしくは「一幕見」を利用するか。


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by yamato-y | 2013-03-28 07:53 | Comments(0)

4月への準備

4月への準備

 春からふたつの大学で映像論を教える。明学大では映像メディア論、武大では映像アーカイブ論。似ているが、微妙に違いがある。当然、授業で使用する映像作品も重なるものもあるが異なるものもある。その作品の選択と作品研究をいまのうちに仕込んでおかねばならない。

 アーカイブ論のテーマは変動と映像。人生の変化、社会の変動を映像はどんなふうに表して来たかということを追究していこうかなと考えている。
 そこで自分がこれまで作って来た作品も利用しようと目論んでいて、その作品のDVDを試写してチェックしている。
昭和の終わりという変動期。私は40歳でもっとも活動していた時期となる。世界では社会主義の国がばたばたと衰亡していき、国内では美空ひばりや著名な人物が倒れたりしていた。そのひばりの人生をドキュメントすることになる。「廃墟に流れる悲しき口笛」。美空ひばりという不世出の歌手の人生を描きながら同時代の庶民の歴史を記録するという仕掛けの番組だった。なぜ、そういう手法をとったのかということを今回想して、テイクノートしている。

 歌謡曲の出来事が社会の動きと関わりがあるなどという命題は当時まだ新しかった。自分でも半信半疑で取材を重ねていた。迷いつづけた私をしっかりやれと励ましてくれたのが、若くして亡くなったドキュメンタリストの工藤さんだった。名プロデューサーだった工藤さんの制作したフィルムドキュメンタリーの大半はまさに社会変動を主題にしていたといって過言でない。
ということで、工藤作品をあらためて見直すという作業に変わっていた。


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by yamato-y | 2013-03-27 10:01 | Comments(0)

春の午後

春のうららかな週末

結婚式に出席した。知人の息女が有楽町の有名ホテルで華燭の典を執り行うので出てほしいと依頼され、数年ぶりに豪華な結婚式に参列した。
その披露宴は午後4時からだったので、少し早めに出かけて日比谷公園を散歩した。
暑くもなく寒くもない穏やかな日だから、公園にはおおぜいの花見客がいた。宴会の客はそれほどもおらず、幼い子供連れの若夫婦が目についた。
桜は満開。やや白めの染井吉野があちこちで咲き誇っていた。

日比谷公園のそばには第1生命ビルが堂々とある。占領時代、GHQがあった場所だ。なるほど皇居と対峙するような恰好の地にあると、なんとなく昭和史の秘密に触れた気がした。

さて、ペニンシュラホテルで開かれた披露宴は出席者100名を超す豪勢なものだった。慶応大学出の公認会計士とその花嫁の催す宴とはこういうものかと、会場の設備や食卓に好奇の目を向けた。新郎は佐渡、新婦は長野出身ということもあって、メニューのタイトルは「佐渡&信州、幸せの五線譜」。佐渡のエスカルゴ(さざえ)、信州牛のローストビーフなど豊富な食材で彩られていた。これまでに出た結婚式でもっとも盛大なものであった。

8時、式が終わって有楽町の駅に向かう。日が暮れると風が冷たく、町は意外に華やかさを失っていた。シャンペンとワインをいささか飲み過ぎたようで山手線を乗り過ごし、行ったり来たりを2度ほど繰り返した。

帰り着いて、一風呂浴びたら目が冴えた。金曜日にレンタルしておいたDVDを見始めた。
韓国映画「カエル殺人事件」。去年封切られて話題になった作品だ。噂に違わず、なかなかの力作であった。2時間半、飽きることもなく見た。

その後、「爆笑オンエアバトル」を30分ほど見て、午前1時、ベッドに潜り込んだ。こういう人生の午後ってどんなものだろう。眠りに落ちていく間、苦い悔いのようなものが喉元あたりにあった。



日比谷公園の桜。
花見の客。
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by yamato-y | 2013-03-24 09:48 | Comments(0)

追われてみたのはいつの日か

追われてみたのはいつの日か

最新の韓国映画「火車」を見た。原作は日本の宮部みゆきの名作である。
この原作は近年のミステリーのなかでも群を抜く傑作であることは論をまたない。私も最初手にしたとき夢中で読み、ラストの映像的な「作り」に感動した覚えがある。これまで映画化されなかったのも、小説があまりによく出来ているからではないかと勝手に勘ぐっていた。
それが翻案されてこのたびの韓国映画として封切られた。ツタヤで最新作として1泊2日420円で貸し出しされていたのを、昨夜夕方遅く渋谷に出向いて借りた。期待した。

がっかりだった。ヒロインも探偵役の元刑事も演技力があることは認めるのだが、少なくとも脚本は原作を生かしきっていない。次に映像が5年ほど前の韓国映画に比べてペラいのだ。薄味になったというか、かつて韓国映画がもっていたハングリーなものが画面から消失した。芝居も舞台もあまりに手馴れた「処理」になっている。

せっかくの休日の夜を無駄にしたと、見終わってぷりぷりした。
4月から始める映像論のためにストックしておいた「カッテイング」(映画編集)というドキュメントを口直しに見た。
面白かった。映画編集の歴史をたどる構成は分かりやすく、かつスコセッシやスピルバーグら名うての監督、名編集者らが次々に貴重な証言を提出する。

サスペンスという章で、カーチェイス(車の追いかけっこ)の話が展開する。現代のカーチェイスの“はしり”はマックィーンの「ブリット」。「フレンチコネクション」では卓抜な車の演技を見せてくれた。本ドキュメンタリーでは「ターミネーター2」をとりあげ、暗渠のなかで繰り広げられるダンプとバイクの死闘を見せる。シュワルツネッガーが乗ったバイクをターミネーターの警官が大型ダンプカーで踏み潰そうとするカーチェイスが例として取り上げられる。編集にあたったコンラッド・パフが、人間は遠い昔に追われた経験をもつので、このチェイスのスリルは実感化できる。だからこの感情を味わいたいと実は思っているのだとカーチェイスの本質を喝破する。

 まだ人類が文明を持たず、類人猿のような暮らしを送っていたころ、マンモスや肉食動物にいつも追われていた。その体験がDNAに刷り込まれているというのだ。

 ここで、ふっと昔から氣になっていた名曲の歌詞がよみがえってくる
 ♪夕焼けこやけの赤とんぼ おわれて見たのはいつの日か

この歌詞が、ずっと「追われてみたのは、いつの日か」と聞こえてならなかったが、本当の意味は「負われて見たのは、いつの日か」。つまり負ぶわれて、背中の上で見たのはという意味だ。だが、私には追われてみたと聞こえてならなかった。間違いだと思っても、そんな文脈の言葉がどこかにあると長く思っていたら、この「映画編集」を見ていて出会った。なぜか嬉しい。

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by yamato-y | 2013-03-21 15:29 | Comments(0)

65歳の春分の日―彼岸

65歳の春分の日

母こひし夕山桜峯の松

 泉鏡花の句だ。一見月並みな口調だが、幾度も見つめていると、鏡花の母恋の思いがそこはかとなく響いてくる。老いて父母を思う気持ちはまさに夕山桜のような心象だ。本日は春分の日にして、東京は開花宣言を一昨日している。数日後には鏡花の詠んだこの風景に出会えるだろう。この節は彼岸でもある。亡き人を思う日でもある。

 65歳という「老年」にいたって父母を懐かしむ気持ちがつよくなっていく。同様に若い日を惜しむことも。

堀口大学の「夕ぐれの時はよい時」にこんな一節がある。

また青春の夢とほく 失ひはてた人々の為には、
それはやさしい思ひ出のひと時、
それは過ぎ去った夢の酩酊、
それは今日の心には痛いけれど しかも忘れかねた
その上の日のなつかしい移り香。

青春を遠くする身の上には、夕ぐれこそ慰めであるとでも堀口大学は説いているのだろうか。過ぎ去った日のことは心に痛いけれども、しかも忘れかねた「なつかしい移り香」。苦いようなすっぱいような心持ちがよみがえってくる。

こういう感情をひっくるめて、老年のセンチメンタルとでも名付ける。

それにしても・・・それにしてもだ。古来、大家と呼ばれる人たちもたくさんの老年センチメンタルを作っているものだ。

三好達治、最晩年の詩群「百たびののち」にこんなフラグメントがある。

日は片曇り はたた神うしろの空に閃めけり
遠き別離をふたたびせよ

人生の前半に別離があって、そして後半にふたたび別離がある、ということか。最初の別離がどれほど人生に深い跡を残すか、終幕が近づくにつれて露になっていくものらしい。

*  *

話はがらりと変わるが、初代吉右衛門は俳句をよくした。先日、目黒図書館で『吉右衛門句集』を見つけて繰り返し読んでいる。
この人は昭和17年当時の京都が好きで、よく詠んでいた。
清水の坂の途中にしぐれけり

ああ、こんな時間を去年まで通った大学で私ももったなとしみじみ思う。吉右衛門はもっと直裁にも詠んでいる。
京が好きこの清水の冬霞

彼岸が過ぎれば晩春へと向かう。多忙な時間が待っている。あくせく働く私を、先日の句会で猫翁さんがこんなふうにひやかした。
身捨つるほどの会社はありや

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by yamato-y | 2013-03-20 11:38 | Comments(0)

昨夜の風はすごかったね

昨夜の風はすごかったね

いつもより早く、午後10時過ぎに床についた。目を閉じて、しばらくすると豪風が吹いた。ベランダの洗濯物が外れたのではないかと思うほど、すさまじい風が音をたてて吹き抜けた。一度で終わらない。強い風はそれから小一時間続いた。
その後は眠りの世界に入ったので覚えていない。午前2時、厠で目が覚めたときは、風は止んでいた。
それにしても昨夜の風のすさまじいことは台風並みだった。
今年の冬から春への気象は世界的に変だ。日本の豪雪だけかと思っていたら、先週はヨーロッパでもあったし、2月にはニューヨークもふぶきに見舞われた。偏西風の蛇行が歪んで、北極の冷気が一部低緯度帯にまで降りてきているのが原因らしい。

今日で終わりということ
不思議な気がするね 不思議さ
風が吹いてる コブシがゆれてる
卒業だ さよなら
いつかふたりが会ったら
ぼくだとわかるかな きみだと

 早春には、いつもこの『キルプの軍団』(大江健三郎)のなかに書かれた「卒業」という詩を思う。
〔さよなら〕から〔いつかふたり〕までの間、どれほどの時間が流れたのだろう。その長い時間の果てに再会できた喜びが、この詩のなかから響いてくる。
 小説の人物が養護学校を卒業するときに書かれたという設定になっているが、もう少し深読みをして、この世の卒業という状況で生まれた詩と考えたい。

この世を卒業し転生を繰り返して、再会したとき、きみは想像もつかないほど変わっていた。顔の表情だけでない、言葉づかいも、態度も、ぼくの知っているきみとはまったく違うきみだった。

 だけど、会ったときからすぐ分かったんだ、きみだって。きみだってぼくだということがわかっていたように。

 こぶしを揺らすほどのそよ風が吹く「世界」で、大江さんとおぼしきぼくと、光さんがモデルのきみが再会する様子が目に浮かんでくる。

 注:この詩には後に曲がついた。大江光の作曲で、最初のCDに収録されているはずだ。

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by yamato-y | 2013-03-19 12:21 | Comments(0)


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