定年再出発  


懐かしい空
by yamato-y
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親方の死をもてあそぶな


初代貴ノ花、二子山親方が死んだ。享年55.早い死だ。
ワイドショウは朝から、その話題で騒いでいる。惜しまれる死、素朴な人柄。
飾り立てた言葉で故人を“悼む”。
あるワイドショウでは、友人の竜虎が故人の子煩悩ぶりを紹介すると、司会が「やさしい
人柄で惜しいですね」とフォローしたとき、私は憤りを感じた。

幸せな一家が、後年壊れてゆく様子を、ワイドショウはこれでもかと言わんばかりに
報じ、親方の子育て、生き方を口をきわめて批判した。
口下手で頭をさげるしかできない親方は、真意が分って貰えず、無能呼ばわりされた。

そういう仕打ちをしておきながら、早世したとて美談でもちあげる卑しさ。
いや、そういう業種だからこそ豹変して、親方の死を「非業の死」として商売するつもりなのだろう。

マスコミ(大衆伝達)の進展は民主主義に寄与した面が大きいが、一方個人のプライバシーが
切り売りされることにもなった。昔なら町内の噂ですんだことが、今や国レベルまで広がる。押し広げるために、話は面白おかしく刺激的に変容されていく。凡庸な死ではなく過剰な縁飾りをつけた死になっていったのだ。

二子山親方と私は2つしか歳が違わない。ちょうど現役定年にあたる。そこで人生も終わりを迎えるというのは、あまりに惨い。身につまされて言葉もない。
首相談話などで、悼むことなど止めてもらいたい。全身で生き抜いた親方の生涯を月並みな言葉で括らないでもらいたいのだ。
親方の死をもてあそぶなと、言いたい。
彼にゆっくり眠らせてあげたい。
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夜来の雨があがり、森はぐっしょり濡れそぼっていた。
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by yamato-y | 2005-05-31 13:53 | 登羊亭日乗 | Comments(1)

あめふりくまのこ

雨降りくまのこ
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今朝、北陸の実家を出るときは晴れていたが、品川に着く頃から雨になった。
そろそろ梅雨が近づいたのかな。
こんな雨の日には思い出す歌がある。

「あめふりくまのこ」
鶴見正夫作詞・湯山昭作曲

おやまに あめが ふりました
あとから あとから ふってきて
ちょろちょろ おがわが できました

いたずら くまのこ かけてきて
そうっと のぞいて みてました
さかなが いるかと みてました

なんにも いないと くまのこは
おみずを ひとくち のみました
おててで すくって のみました

それでも どこかに いるようで
もいちど のぞいて みてました
さかなを まちまち みてました

なかなか やまない あめでした
かさでも かぶって いましょうと
あたまに はっぱを のせました

 子ども歌の雨の名作は意外に多いのだ。この感じの番組を作ってみたい気がするが、
なかなか難しいものなのだ。
ものがたりがきれいに流れるという、難しさ。

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by yamato-y | 2005-05-30 14:23 | ブロギニストのDJ | Comments(2)

青春に悔いはない

 京都で思ったこと
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北白川の山に自転車でのぼったので、今朝は腿が筋肉痛だ。
今、学生たちと10分サイズの番組を作っている。昨日はロケだった。
4つの班に分かれて撮影しているが、私はその中の「北白川地蔵道」を取材するチームに
同行した。
大学キャンパスの北端から白川を通って滋賀県境まで続く道だ。最初は自転車で動き回る範囲と思っていたら、どんどん坂をのぼっていく。地蔵谷という、その道は古来より
道に沿って地蔵の祠が連なっているとか。その謎を追う番組だ。

学生は若いから、自転車にカメラや三脚を積んでスイスイあがっていく。口惜しいから
必死でついていったが、最後のつづら折でへたばった。

新緑が美しい。渓谷にそって自転車を連ねてのぼっていく学生の姿は、実にさわやかだ。

「わが青春に悔いなし」と言う映画を思い起こした。黒澤明のたしか戦後第1作だ。
あの映画の最初の舞台も京都だった。戦前のかろうじて平和が残る日々から物語は始まる。
三高の学生たちが吉田山へピクニックに行く。頂から、学生たちがはしゃぎながら駆け下りてくるという美しいシーンだ。若さが匂いたち、生命がほとばしる、まさに青春の「光」を表していた。映画は、この後青春の「影」を描くことになる。その暗い時代の前の、つかの間の輝きだけに、白黒映画だが万緑の光景が目にしみた。

男子4名、女子ひとりの、わが学生チームも、ほほを紅潮させて自転車を漕いでいる。名利も栄達も求めず、ひたすらいい画を撮りたいと坂を必死でのぼる彼らに、しばし見とれた。2005年の晩春のことだ。

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by yamato-y | 2005-05-28 12:07 | 登羊亭日乗 | Comments(0)

韓流の行く末

 京都で考えたこと

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京都のキャンパスは花盛り

ドラマ「初恋」を昨夜初めて見た。たしか7、8年ほど前に韓国で制作された
作品ではなかったか。
ぺ・ヨンジュンの顔も幼い。高野悦子さんは、若いころのぺ・ヨンジュンもそれなりの魅力がある
と褒めていた。
このドラマを韓国から購入するときの交渉をそばで見ていた。「冬のソナタ」でブレイクしたので、旧作も買わないかと、韓国側からもちかけられたのだ。
ぺ・ヨンジュンの作品であれば何でもいいじゃないかという意見に、私は反対だった。しかも
CSか何かほかの媒体で一度ON-AIRされているとすれば、価値は低いのではないかと
購入に際して慎重であるべきという考えを述べた。

私は韓流というのは、冬のソナタ現象であると見ていたから、ユン・ソクホ以外のテレビドラマは過大評価すべきではないと考えていた。
オフィスの隣の部で、日本語版の制作が始まっても関心がなかった。

ここ数日、京都に逗留している。昨夜は思いがけず時間が空いたので、ホテルでテレビのスイッチを入れた。「初恋」がちょうどやっていた。ぺ・ヨンジュンの吹きかえは冬ソナと同じく萩原聖人が演じていた。彼の声は年齢的にも冬ソナよりはまっている感じだ。

ドラマは予想どおり、オールドファッションだった。人物も大時代的で、社会背景との葛藤も
ふくらみがない。一本調子のかんじ。
ドラマには韓国が「高成長」する以前の、「貧しさ」が散見された。それが駄目だというのではない。人物の境遇などもさりながら、服装やセット、小道具、大道具などにある種の
雑さを感じたのだ。ユン監督のような細かい気遣いが見られないのだ。

おりしもTBSが山口百恵の名作「赤い疑惑」をリメイクすると発表した。難病におかされた〈百恵〉とはげまし愛し合う〈友和〉の、あのメロドラマだ。韓流効果であることははっきりしている。
だが、単純な韓流ブーム、メロドラマ復古、という視点で企画したとすれば、安易すぎるのではないだろうか。

私は現在の韓流、メロドラマ、純愛という流れに反対するものではない。むしろ、若者だけにうけるようなスター偏重路線(キムタク、マツシマナナコ、ジャニーズ・・・)より、ストーリーテリング重視の傾向を好もしいと思う。
だが、このような現象が続けば、韓流ブームも木枯らしの吹くころにはどうなっているだろうか。気がかりだ。――人の心は移ろいやすい。

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by yamato-y | 2005-05-27 12:28 | 冬のソナタの秘密 | Comments(1)

京都太秦撮影所

拓ぼんの浮気

今、京都に来ている。秋に放送する予定で、昭和の心を伝える番組のリサーチを始めているのだ。
昨日上洛し太秦にある東映の京都撮影所に取材に行った。
俳優の故川谷拓三の奥さんに同行した。そこは、大部屋時代の拓ぼんこと川谷さんの思い出が
たくさん残っている場所だ。

川谷夫人の本名は仁科克子、やはり大部屋の女優だった。川谷さんと共に苦労してきたのだ。
仁科さんは現在60歳をゆうに超えたが、若い。今は東京調布に住んでいるが、年に3度ほど京都へ帰ってくる。元々京都の出身で京なまりは身についている。人情味があり涙もろい人だ。

拓ぼんの浮気の話を仁科さんは打ち明けてくれた。
ある冬、川谷さんは女の子からもらったと手編みのセーターを持ち帰ったことがある。
克子さんはいっそハサミで切り刻むでやろうかとおもったが、そんな児戯めいたこともできずしばらくそのままにしておいた。
放っておいたら、ある日物乞いがやってきた。
「何でもいいですから恵んでください」と哀願する。爪は真っ黒、首の辺りには垢がたまっている。薄着で寒そうだ。
克子さんの目にあのマフラーが留まった。「これあげるわ」と言って、100円も添えて物乞いにマフラーを与えた。

その物乞いが喜んだのは言うまでもない。川谷さんがこの事実を知るのはそれからずーっと後のことだ。後年、「婦人公論」の夫婦対談で克子さんは初めて事実を語った。
川谷さんは目を白黒させ、あの時は迷惑をかけたと殊勝に謝った。でも、川谷さんの目の中に残念そうな色がちらっと見えたことを克子さんは見逃さない。それはマフラーだったか、彼女だったか。

 拓ぼんの思い出を語るうちに、克子さんの目には光るものがあった。「仕合わせな人やわ、拓ぼんは」と目をこすりながら、「10年経っても、こうやって皆さんが覚えておいてくれはるなんて」。
撮影所の門をくぐると、大部屋の女優さんたちが阿波踊りの練習を一生懸命していた。
仁科さんの顔を見ると、「おはようございます」の声がかかる。仁科さんは嬉しそうに
あいさつを返していた。
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太秦で見かけた民家
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by yamato-y | 2005-05-26 17:33 | 新しい番組を構想して | Comments(0)

メロドラマ再考「浮雲」

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「浮雲」のこと

知人から「浮雲」と「冬のソナタ」をメロドラマとしていっしょに扱うのは
いかがかと、たしなめられた。
たしかに、冬のソナタを評価するあまり、成瀬の「作品」まで持ち出したのは
いささか、やりすぎだったかもしれない。
だが、かつて成瀬三喜男のこの名作も〈男と女の業〉とか〈メロドラマ〉とか
からかわれた時期もあった。このことは少し記憶されていいだろう。
ここでのメロドラマというレッテルは揶揄であることは言うまでもない。

今年は成瀬生誕百年だ。CS映画チャンネルでも特集を組んでいるしBSでも
秋に代表作が編成される予定だ。成瀬見直しが始まろうとしている。

敗戦直後、さっぱり芽が出なかった成瀬だが、1951年に林芙美子の「めし」を
映画化してから、「おかあさん」「稲妻」「晩菊」とその力を発揮した。そして、
1955年「浮雲」を製作して頂点を極め、成瀬ワールドを作り上げた。

「浮雲」は、戦前の仏印(今のベトナム)で知り合った男女が、戦後再会して
転落していくまでの、「腐れ縁」を描いている。
小林信彦は「戦後10年目、大衆の意識の底に眠っていた(勝利者、侵略者だった
ころの甘い記憶とその後の辛かった記憶)を呼び覚ました」と見ている。

単純な男女の色恋ではすまない陰りを成瀬は見事に表現している。終章も
暗澹たる思いを観客に引きずらせたまま、主人公を「奈落」に向かわせようとしている。
成瀬のペシミズムは思いのほか深いのだ。

戦後10年目に自覚させられた大衆の意識は、その後さらに歪んで奢ってはいないか。
日本を見るアジアの厳しい眼差しを、成瀬はこの段階で感じていたのではなかったろうか。

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by yamato-y | 2005-05-24 17:23 | ブロギニストのDJ | Comments(0)

にわか雨にあって思ったこと

 
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驟雨

時雨(しぐれ)というのもあるが、これは冬のにわか雨だから、今の季節ではない。

昨23日の夜、退社して駅に向かうと、ぽつりぽつりと落ちてくるものがあった。
7時15分過ぎ、一雨きた。ちょうど駅前のスクランブル交差点まで来ていた。
あわてて渋谷駅の中へ飛び込む。1分足らずだが上着も靴もびしょ濡れになった。
湘南ラインのホームまで長いコンコースを、服を脱いで乾かせながら歩いた。でないと
買ったばかりのTHEORYのジャケットが型崩れしてしまう。今気に入っているのだ。

ホームに出ると、3番線側の樋から大量の雨水がほとばしり落ちていた。
水量は半端でない。客も駅員も呆然と見ている。構内にアナウンスが流れた。
「環境アクセス員は、すぐ南口に集まってください」
この雨漏り騒ぎに担当者の招集がかかったようだ。JRには環境アクセス員と言う職種が
あることを知った。普段はどんなことをしているのか。喫煙コーナーの整備とか
ピンクビラの回収とかをやっているのだろうか。専従だろうか、それとも他の職種と
兼務しているのか。

JRに勤務しているといえば、たいてい運転手ですかと聞かれるだろう。
放送局にいますと言うと、アナウンサーですかと尋ねられるのと同じだ。だが、放送は
アナウンサーだけでできないように(というより、段取りや内容はスタッフが決めて、
アナウンサーは最終的に発語する役割だ)、鉄道だって運転手だけで運行できない。
車掌、保線員、駅員、通信員、そして環境アクセス員がいて、成り立っているのだ。

当たり前の事を、にわか雨に遭って気づいた。
驟雨――さっと降ってすぐ晴れ上がるにわか雨。
「驟雨」といえば、成瀬三喜男の名作がある。そういえば、メロドラマの成瀬で
反論があったな。再考したい。

今日24日も、夕方になって雲行きが怪しくなってきた。
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by yamato-y | 2005-05-24 15:00 | 登羊亭日乗 | Comments(0)

チョン・ジヒョンのせつない演技

 映画「僕の彼女を紹介します」

「猟奇的な彼女」でブレイクした女優チョン・ジヒョンの新作「僕の彼女を紹介します。」を
見た。監督は「猟奇的-」と同じクァク・ジェヨン。今回も才能をいかんなく発揮
し、シナリオも自分で書いている。

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ヒロイン、ヨ・ギョンジンは激しい思い込みと強い正義感に燃える婦人警察官。
物語は、彼女の誤認逮捕から始まる。ひったくりと間違えて捕まえたのは
犯人逮捕に協力しようとした高校教師、コ・ミョンウ。謝れ!と怒るミョンウに
「あなたが、“ごめん”に改名したら、そう呼ぶわ」と開き直るギョンジン。

気の強い婦警と善良な高校教師が偶然再会し、やがて恋に落ちる。クァク監督は
この映画にエンターテイメント性をたっぷり盛り込む。主人公が婦警ということで
凶悪犯罪に次々にギョンジンは巻き込まれ、その都度スーパーウーマン的大活躍を
していく。展開がめまぐるしく観客を飽きさせない。
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だが、監督が本当に描きたかったのは、終盤ミョンウが不慮の死を遂げてからであろう。
喪失感に苦しむ彼女に、亡きミョンウの「メッセージ」がさまざまな形で届く。そのうちに
ギョンジンはミョンウの生前の「もし死んだら風になる」という言葉を思い出す。
成仏するまでの49日間にミョンウの魂が、風となって彼女に存在を伝えようとするのだ。
このシーンは美しい。ギョンジンが手作りした風車が部屋いっぱいに飾ってある。久し
ぶりに部屋にもどったギョンジンが窓を開けると、いっせいに風車が回り始め、
机上のミョンウからプレゼントされた本のページがパラパラめくれる。そこには
かつてミョンウが描き込んだパラパラ漫画が「アニメート」されていた。
たしか、アニメーションのアニメートとは「生命を吹き込む」という意味では
なかったか。その“風”に気づいたギョンジンは両手を広げてミョンウに触れる。
チョン・ジヒョンのせつない演技が見事だ。
先年、若くして死んだ詩人辻征夫の詩「風の名前」の一節を、チョン・ジヒョンに贈りたい。
 風が吹いて行く
 手をさしのべているのは
 風の肉体にさわっているんだ


クァク監督の処女作「ラブ・ストーリー」でも、亡き人の魂が風でその存在を知らす
という仕掛けだった。この監督のこだわりのモチーフなのだろう。
風を意味する朝鮮語「パラン」「パラミ」という言葉すら、好もしく響いてくる。

風が魂であるという考え方は新しいものではない。形而上学者の門脇佳吉は
魂は息吹と考えている。大江健三郎は『治療塔惑星』の中で、遠い星で死んだ
者がある日地球の空に帰ってくる様子を、気象の変化で暗示した。さらに、
ブログ「卒業」でも引用したが死者の魂が風となって木々をぬけていくという
イメージを大江は描いている。

クァク監督は、こういうネオプラトニズムの思想を胸に秘めた深い作家ではないかと、私は
考えている。ところが、映画自体はあまりに娯楽を追求しすぎたのではないか。
やや荒唐無稽に傾いている。この映画の最後の「落ち」も前作「猟奇的な彼女」を
見ていないと、謎が解けないだろう。こういうアソビは不要だと、思ってしまう。

クァク監督の真価は、やはり「ラブストーリー」まで遡らなくてはならない。このことは
別に書くことにしようと思うが、ひと言だけ書いておく。「ラブストーリー」という
タイトルは日本の代理店がつけたものだ。原題は「THE CLASSIC」。これにはある意味
がこめられているのだが、その意味すら感じないような映画関係者が、今の日本には
あまりに多い。
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by yamato-y | 2005-05-23 18:32 | ブロギニストのDJ | Comments(0)

続続 浅草夏祭

ルポ 浅草三社祭 3
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 ひさご通り端にある「あまかす」に灯りがともっていた。祭とあって
特別に店を開けたのだろうか。どうやらT大人だけは開店している情報を
予め知っていたようだ。さっさと、店の前に立ってガラガラと戸を開けた。

あまかすはこの界隈でも老舗の酒場で、80歳を越えるママが長く一人で切り盛りしている。
口は悪いが気立てのいい人で、人柄を慕って昔からの客が多い。店の売りはハイボールとジンフィズ。
 わが浅草を飲み歩く会は10年来のなじみだ。ここ2,3年私はご無沙汰しているが、
T大人らメンバーはママとはかなり仲がいい。
 特にT大人への信頼は厚く、ママが1年前に入院したときも何度も見舞って感謝されている。
そんなことで、あまかすママの動静はT大人が熟知していて、退院後久しぶりに店を開けることを知って、この夜訪ねたと推測される。

店内は昔からの常連でいっぱいだった。カウンターの中にはママ一人では無理だとして
ママの娘も入っていた。娘さんといっても、私と同世代か少し上。母とよく似た面差しだ。
T大人が座ると、ママはうれしそうな顔を見せる。早速、全員ハイボールを所望する。ポテトサラダ、から揚げ、鰯の煮物、などおなじみの品がカウンターに並ぶ。

向かいに座った老人は戦後まもなくから通っているような口ぶり。長年見てきたママの
天邪鬼ぶりをおもしろおかしく大きな声で語っている。
ママはちょっと顔をしかめて「いつまでもうるさいよ、昔の話なんて」とたしなめる。だが老人はこりない。周りに聞かせるようにあーだ、こーだと言い立てている。
どうやら演劇関係者ご一統さんらしい。高名な評論家のヤノセイイチさんの姿もある。ヤノさんはたしか山の手育ちのはずだが、やはり江戸の匂いのする浅草はお好きらしい。
 ママは病み上がりだから、さすがに立って十人余りの客の相手をしていて疲れたようだ。丸椅子に腰掛けるが、またすぐ立ち上がって客の相手になる。
カウンターの上手はしが空席になっている。「もうすぐ彼氏が来るからね」とママはT大人に目配せする。

8時過ぎ、彼氏ことサイデンさんが一人でやってきた。何と日本文学研究家で翻訳家の
サイデンステッカーさんだ。ハワイと日本を行ったりきたりの生活だが、在日時はかならず
サイデンさんはあまかすを訪れるという。席につくや流暢な日本語で注文する。

忙しさに段落がついて、ママがサイデンさんの前に立つと、「やっと私のところへ来てくれましたね」と軽くすねてみせるサイデンさん。やるもんだ。
ここに集う老人たちは、ママの回復を心から喜んでいるようだ。高砂族(台湾ではありません)たちは滅法色っぽく、麗しい。

9時半、店を出た。
浅草の町はまだ祭の余熱が残っていた。ひさしぶりの下町はよかった。
今宵歩いた店は、かつてドラゴンさんと共に行った店ばかり。すこしだけ供養になったかなあ。私が京都へ行っているときドラゴンさんはなくなったので、葬式も通夜にも参列できず心残りだったが、今夜のイベントで少し心が晴れた。
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最後に下町を愛した俳人久保田万太郎の名句を記しておく。
     神田川 祭の中を 流れけり

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by yamato-y | 2005-05-23 11:46 | ブロギニストのDJ | Comments(3)

続 浅草夏祭

 ルポ 浅草三社祭 2
ひさご通りに向かう。ふだん閑散としているアーケードも今宵は人が多い。
すき焼きの米久も、どうやら『猫の手を借りたい』状態らしい。
アーケードを抜けると、正面から神輿4台がやって来る。今晩最高の見せ場だ。
人垣が見る見る大きくなる。やがて4台の神輿は大通りの手前でストップし
休憩となった。
たちまち、缶ビールが氏子に手渡されてミニ宴会があちこちで始まる。
近所の誼か、互いに写真を撮ったり乾杯したり騒々しい。
青年は酒をガブガブ飲み干す。娘は鏡で髪を直す。どの顔も満面の笑みだ。
氏子の半纏を見ると「浅三」「寿一」とか「箕輪」とか町名が染めこまれている。
男女とも姿が粋で美しい。
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JUNKOさんとアキコさんのお目当ては高橋組だが、ここには見当たらない。
高橋組の担ぎ手は全員男性で女子はいない。背中に倶梨伽羅紋々を入れた、その筋の
人が多いとか。紋々をつけて神輿に登ると、25万円の罰金が取られるそうだが、
高橋組の連中は罰金覚悟で登場するそうだ。荒ぶる魂の神様がその神輿にはいるの
だろうか。高橋組は表通りに行ったらしい。
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20分休憩した7時15分過ぎ、神輿は上がった。4台の神輿はそれぞれ地元へと
帰っていく。この出動のときの景色がよかった。神輿の取っ手に仁王立ちしたリーダー
がかけ声と共にチョーン、チョーン、チョーンと拍子木をうつ。打ち終わると彼はそのまま後方へ
倒れこむ。それを合図に神輿がスクッと上がる。たちまち「ソイヤー」と「ター」の連呼が
始まる。
夜目にも鮮やかな鳳凰が神輿のテッペンで踊りながら、通の向こうに消えていった。
ふと空を見上げると、月がおぼろに浮かんでいた。
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(この記事つづく)
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by yamato-y | 2005-05-23 11:38 | ブロギニストのDJ | Comments(0)


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