映画は難しい(作るのが)
昨夜、銀座で「続・3丁目の夕日」を見た。前作が面白かったし、CGの出来のすばらしさにも感動した。原作のコミックスとは設定キャラクターは同じだが、物語は作家茶川竜之介を中心にした映画独自のものとして作ってあった。特に、茶川と踊り子の恋話は原作にもちらっとあったかもしれないが映画ではかなりの部分を占めていた。
その恋話は前作では完結しないままだったから続編を作ったと聞いて、なるほど話は続くのねと納得した。だから続きを見たいと思っていたので、昨夜仕事を終えて銀座マリオンの前を通ると最終の興行が始まるところだったので思わず館に飛び込んだ。
映画はよく出来ていたが前作の感動や味わいが少なかった。少し話を増やしすぎたかな。鈴木オートに、高慢なハトコがやってくる。六ちゃんのボーイフレンドは不良になる。お母さんのトモエさんには昔の恋人と再会する。社長は戦友会に行って幻と会う。踊り子には大阪の遊び人が言い寄る。踊り子の先輩で訳ありの女が世話をやく。等など。
もともと、エピソードの積み重ねのドラマだからグランドストーリーで勝負しないというのは分かるがやや散漫なのだ。ネタが多すぎてキャラクターそれぞれに思い入れが深まらない。前作でよかったアクマ先生(三浦友和)はぱっとしなかった。踊り子(小雪)は大女のぞろりとした感じが目につき、はすっぱで気のいい女を演じきっていない。影ばかり強調された。茶川(吉岡秀隆)はうまいけど、やりすぎか。鈴木社長(堤真一)も同じ印象。大阪の旦那は関西弁がなっていない。この点が一番問題だ。こういうことを蔑ろにするとドラマの緊密性が途切れる。
勿体無いなあと思ったのは映画館のシーンだ。六ちゃんの休日、おめかしをして出かけたのが映画館。映画全盛の時代だ。人気者裕次郎演じる「嵐を呼ぶ男」が劇場にかかっている。それを興奮して見る、という前作のプロレス観戦と同じ「処理」をしている。それあないだろう。あれだけ大勢のエキストラを狩り出しているのなら、そこでエピソードの一つも作ればいいのに・・・。
カットのつなぎは明らかに映画でなくテレビの手法だった。それが悪いわけではないが、もし第3作を作るのなら、他のスタッフは残しても監督は変えたほうがいい。もはや、彼は自分がどうしていいか分からなくなっている。彼自身も苦しいだろう。他のメンバーをそのまま残して、新しい監督で臨むべきか。うそ臭い設定なのに感動する「父と暮らせば」の黒木和雄の思いを注入すればいい映画になると思うけどなあ。
配役でいいのは薬師丸博子、堀北真希、子役の一平。まずいのはうまい子役淳之介が体が大きくなりすぎたことだ。もたいまさこのばあさんもわざとすぎる。ピエールとかキム兄とか温水とかあまりにねらいすぎ。もっと普通のそれなりの役者でいいと思うけど。山崎監督ははっきり言って小技に走りすぎ。
映画が終わってエンドロールを見ていたら、一昨日会った少年サンデーの元編集長の名前が出てきて、俄然親近感が湧いた。
ごちゃごちゃ書いたけど、見たほうがいいと思う。金返せという気にはならない。これだけなら悪くはなかったのだろうが、前作があまりに良すぎた。
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