嵐を抜けて
関東を直撃した台風だから被害が出ているかもしれないと昨夜恐る恐る帰宅したら、ベランダの植木が転がって裏山の枝が散乱する程度で、何もなかったかのように我が家は迎えてくれた。ほっとした。
それにしても昨夜は蒸した。寝苦しくて深夜まで「ラカン」を読みふけった。繰り返し読んでもなかなか理解できない。やはりフロイトからやりなおすべきだろうか。といって、若いときの読書と違って知的好奇心にまかせてだらだら読むには(人生に)時間がない。なぜラカンを読む必要が私にはあるかをこの辺で立ち止まって問わなくてはいけない。
そんなことを考えていたら早起き烏(カラス)の鳴き声が始まった。
いつのまにか眠ったらしい。ふと目覚めるとスタンドの明かりは煌々として扇風機が首振りのまま回っていた。時計を見ると4時を回ったところだ。トイレに行ってまたベッドにもぐりこむ。目を閉じて少しうとうとした頃、右耳の下部に鋭い痛みが走った。「やられた」と飛び起きた。明かりを点けると枕の上にムカデがもぞもぞと這っていた。寝返りをうったとき首がムカデに触れたらしい。痛みがますますつよくなる。
ラカンのハードカバーの背表紙で押しつぶした。ムカデはしぶとく抵抗する。小癪なやつめとティッシュで包み上げる。その後ひねってトイレに流した。
台風で庭が荒れたので家内に潜り込んできたようだ。夏の終わりは虫さされに注意しないと秋にはいってからとんでもないことになりやすい。用心、用心。
そして10時過ぎ家を出て駅に向かう。もみじ山に日がさしている。山の畑には陽を浴びてつがいの黒アゲハチョウがゆらりと舞っている。坂を下っていても汗が噴出してくる。谷川はごうごうと音をたてている。一昨日の出水の名残だ。
相模湾を見晴るかしても三浦半島はおろか江ノ島も見えない。水蒸気が猛烈な勢いで地表を覆っている。
大磯駅はまだ工事中だ。バリアフリー化のための工事というがかれこれ半年になる。こういう公共工事というのは適正な基準というのがあるのだろうか。ただ残念なのは、田舎の海の駅といった大磯駅の風情がなくなるかもしれないということだ。高齢者の多い大磯ではバリアフリーは望まれているのかもしれないが、私には前のままの駅舎のほうがいいと思っているのだが。
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