奇想の系譜
昔から不思議なことを考える人はいたもんだ。「稲生物怪録」という妖怪を描いた江戸時代の本があると知ったのは15年ほど前のことだ。たしか鳥取藩の旧家に眠っていて、これを番組にしたいと若いディレクターが話を持ちかけてきたことがあった。
その資料を見ると、まるで水木しげるの妖怪の図録そのものだ。北斎が描いた漫画にもありそうな図もある。これは明治以降に造られた紛い本ではないかとわたしは疑った。だからその企画は採用しなかった。
数年後、「太陽」だったか名前は失念したがグラフィック雑誌にその「稲生物怪録」が山陰のタカラとして紹介されたのを見たとき自分の不明を恥じることになる。たしか、この図録の解説を荒俣宏氏が書いていた。荒俣氏の師匠は大伴昌司だ。大伴さんもこういうものを好んだ人だ。少年マガジンの図解でも水木しげるさんと組んで「日本の妖怪」などという特集を制作している。
「往生要集」にも地獄の図がある。この奇想はどうやって生まれたのか気になってしかたがない。一方、西洋だってある。ウィリアム・ブレイクの絵などは不思議だらけだ。
こういう図像を描く人たちにはそういうものを幻視する能力があるのか。奇想の系譜なんて大袈裟な題をつけたが、今朝読んでいた由良君美の著作の題から思いついただけだ。
先日、インタビューした筒井康隆氏が若い頃学んだシュールレアリズムが自分の作品にとっても意味が大きいというようなことを語っていた。わたしも昔からシュールレアリズムやマニエリスムの絵が気になってしかたがない。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング